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>>2005.02.11 Update |
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■輸送艦『おおすみ』 (LST4001) |
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海上自衛隊の輸送艦『おおすみ』型1番艦。長く平坦な甲板が特徴の輸送艦である。それまでの海自輸送 艦とは大きく搭載車輌の揚陸方法が異なり、LCACと呼ばれるエアクッション艇を使用しての揚陸するように なっている。(それまでの輸送艦は艦自体が浜辺に接岸して艦首から揚陸させていた。) 格納庫内は前半分が車輌格納庫で、陸自の90式戦車であれば10両の搭載が可能となっている。後部半 分はLCAC2隻の格納庫となっている。最上甲板は艦橋付近より前半分が車輌甲板、後ろ半分がヘリコプタ ー発着甲板となっている。 艦内には移送する陸自隊員用として330名分の居住施設がある。ここは災害派遣時には避難した人達の 宿泊施設にもなるほか、足りなくなった場合は艦内の車輌格納庫内も宿泊施設となるそうだ。手術室などの 医療設備も充実しているので、災害派遣時には洋上基地としての活用が期待されている。
竣工は1998年(平10年)3月。同型艦として『しもきた』(LST4002)、『くにさき』(LST4003)が竣工しており、3隻で第1輸送隊を編成している。 |
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↑『おおすみ』後部デッキよりLCACが発進す る。画像撮影:海上自衛隊 |
『おおすみ』は、99年10月にトルコ西部大地震の援助業務で救援物資を海上輸送を実施するなど災害活 動に従事。04年2月には、陸自のイラク復興支援活動で陸自車輌・資材の搬送を行っている。 |
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『おおすみ』ではないのだが、2004年(平16年)12月末に起こったスマトラ島沖の地震と津波による救援活動で、3番艦『くにさき』が陸自の輸送ヘリ5機 と車輌を積んで現地に出航。(UH60型ヘリ2機はローターを外して格納庫に収納。CH47型ヘリ3機はでかすぎて収納出来ないため、防錆シートで覆って 甲板に固定していた。) 現地では『くにさき』を拠点にして、LCACとヘリを用いての災害救助活動が行われている。
『おおすみ』型はその独特の形状から、竣工当時に『空母だ!』と騒がれたことがあった。マスコミの知識の無さをさらけ出し、反単戈平禾口団体系の方々の脊髄反射が見られた騒動だった。 それはさておき『おおすみ』型輸送艦の場合、ヘリコプターの離発着は可能でも、収納して整備するという『ヘリ空母』のような運用は出来ない構造になっている。エレベータはあるが、あくまでも車両(戦車)用のもの。スマトラ島での救出活動で、甲板上にヘリを固定して輸送していた姿を見れば一目瞭然である。 もちろん戦闘機の離発着など可能なわけがなく、英軍や米海兵隊で運用されているハリアー戦闘機のような垂直離発着が可能な戦闘機であっても、甲板の構造(合金の種類)がジェットの熱に耐えることが出来ないそうだ。 『おおすみ』型はあくまでも”輸送艦”である。あえていうならば”揚陸艦”に近い”輸送艦”と言える存在だろう。 |
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●『おおすみ』Data 基準排水量:8900t/満水排水量:14000t 全長:178m/全幅:25.8m 機関:ディーゼル2基2軸/出力:26400ps 速力:22ノット 乗員:135名 武装:高性能20mm機関砲(CIWS)2基/チャフ装置6連装4基 輸送用エアクッション艇(LCAC)2艇搭載 竣工:2003年(平15年)2月26日/建造:日立舞鶴/所属:護衛艦隊第1輸送隊/母港:呉 |
★『うらが』の記事はsatounoさん主催の艦艇見学オフ会(2005.01.12)のオフ会レポートとなっています。 |
○輸送艦『おおすみ』一般公開 キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!! ・・・との情報が入ったのは2004年12月末のこと。リンク先のsatounoさんのサイトでした。「こりゃ行かねば!」と思い、詳細を知るべく海上自衛隊阪神基地隊のサイトに行くと・・・
『一般公開日 2005年1月12日(水) 13:00〜16:00』
思いっきり平日の昼間やん・・・_| ̄|○ なんでこんな中途半端な日にすんねん。(゚Д゚)ゴルァ 一度はあきらめましたが、年改まった2005年1月仕事始めの日、12日の昼からの予定が相手先の都合で変更となり時間が出来ました。(゚∀゚) これは行くしかないでしょう。そんなわけで、satounoさん主催の一般公開オフ会に参加いたしました。 |
○阪神基地 satounoさん夫妻とは正午頃に阪神基地にて待ち合わせすることにしていたが、バスに乗ろうとJR摂津本山駅前に行くと偶然会ったのでそのまま同行して基地に向かうことにした。この日は寒い日で、六甲山山頂が白く雪化粧しているのが見える。港は寒そうやなぁ〜と思いつつバスに乗り込む。 |
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阪神基地に着いたのは正午少し前のこと。正門から入ると正面の埠頭に大きな艦艇が停泊していた。輸送艦『おおすみ』だ。 第一印象は「でかい」。昨年2月に見に来た掃海母船『うらが』よりも大きい。『うらが』の全長が141mなので、『おおすみ』の方が30m以上長いことになる。そりゃでかいわなぁ〜。 ずかずかと入り込もうとしたら警備兵(?)に呼び止められた。まだ準備が出来ていないとか。基地内を勝手にうろつかれたら困るそうだ。寒い中で待つ気はしないので、時間が来るまで食堂に移動して昼飯にすることにした。 正門から『おおすみ』の艦橋が見える。→ |
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食堂にはすでに10数人の人達が陣取っていた。見るからに艦艇ファンと思われる人の他は会話から察するに旧海軍関係者か海自OBの方々のようだ。席を確保してカレーライスを注文。今日は食材が残り少ないとかで、2人分しかないところを無理矢理3人分にして出してくれた。味はまぁまぁだった。 やがて13時に近づくとわらわらとカメラを持った人達が集まってきた。その数約30名。「おいおい、平日の昼間から何をしとるねん。」と、自分のことを棚に上げてつっこむあめふらしでした。(^^;) |
○輸送艦『おおすみ』 輸送艦『おおすみ』は1998年(平10年)3月に竣工した『おおすみ』型輸送艦の1番艦。輸送艦と言えば船体ごと浜辺に乗り上げて船首をパカッと開いて車輌を揚陸させるというイメージが強いのだが、『おおすみ』型はLCACと呼ばれるエアクッション艇に車輌を積んで揚陸させるという方法を採用している。そのため艦自体を浜辺に乗り上げる必要 がなくなり、船体構造と速度の限界が解消された。 『おおすみ』型の特徴は、なんと言っても平らで長い甲板。一見すると空母の用に見える独特な艦型から、竣工時に『海自、空母を保有!』と一部マスコミが騒いだことがあった。よく見ろよ・・・( ゚Д゚)ゴルァ どうみても固定翼機の運用は不可能な形をしてますがな。今だに『ヘリコプター空母だ!』と騒ぐ香具師もいるが、大型掃海ヘリコプターMH53が2機だけ甲板に駐機できるだけで、格納庫に収納することはできまへん。 格納する場合はバラさないとあきまへん。あくまでも輸送艦なのですよ。この船は。 |
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さておき、『おおすみ』はとにかくでかい。全長178mとのことなので、イージス護衛艦『こんごう』型(全長161m)より長いことになる。海自最大の艦かと思っていたら、まだ上に全長221mの補給艦『ましゅう』がいた。それでもでかい。 ちなみに旧帝国海軍の空母『鳳翔』の全長は約181mだそうだ。『おおすみ』がわずかに短いことになるが、全幅は『おおすみ』が25.8mであるのに対して『鳳翔』が約18mとなっており、排水量も共に『おおすみ』の方が大きいことになる。 旧海軍初の空母よりも大きい輸送艦ということです。はい。 警備室前から撮影。でかい・・・。デジカメでは全て入り切りません。→ |
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○『おおすみ』 〜岸壁から〜 12時半を過ぎてやっとこさフェンスの設置や受付机を並び始めた。13時少し前になったので暖かい食堂から出て『おおすみ』 に向かう。まずは岸壁から船体を眺める。う〜ん、でかい。間近から眺めると大きいことが良く分かる。艦尾 の側面には『おおすみ』と艦名がかかれているが、字の原版は旧帝国海軍からのものだそうだ。(瑞鶴氏談) 海自の日章旗や艦名文字の原版、その他いろいろな所に旧海軍を受け継いでいる。 |
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やがて13時となった。艦首寄りにあるタラップからではなく、右舷のサイドランプから艦内に入るようになっていた。サイドランプ前に受付が設けられており、ここでパンフレットとカレンダーをもらう。受付前には「顔抜きパネル」が置かれていた。有名観光地によくあるアレですな。『国民の皆様に広く開かれた自衛隊』をアピールしているのです。(・∀・)
有名観光地でよく見る顔抜き看板。『Fuj●フィルム』とは書かれてまへん。(^^;) → |
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○『おおすみ』 〜格納庫〜 サイドランプから格納庫内に入る。第一印象は『広い!』だ。サイドランプから入ってすぐの所にターンテーブルがあり、出入りする車輌はこれに乗って方向転換を行う。サイドランプから艦首方向には20tまで搭載可能なエレベータがあり、最上甲板とを結んでいる。 格納庫前半分は車輌搭載スペースとなる。陸自の90式戦車なら10輌も搭載することが出来る。災害時には救援物資を積んだ車輌を積むわけだが、避難民を収容した場合は臨時の宿泊施設にもなるように設計されているそうだ。 格納庫後半分はLCACと呼ばれるエアクッション艇が2艇収納されている。格納庫前半部分とLCACの甲板は、ほぼ同じ高さに揃えられているので格納庫内で迅速な車輌の移動が可能となっている。 |
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■LCAC (Landing Craft Air Cushion) |
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海上自衛隊の輸送艦『おおすみ』型に搭載されているエアクッション艇(LCAC)。見た目の通り、ホバーク フトの輸送艇。乗員は5〜6名。積載能力は約50tで、90式戦車1輌もしくは人員30名を輸送することが出 来る。アメリカ海軍が使用しているのと同型である。 上写真にあるディーゼル機関車のような物が制御室(指令制御モジュール)で右側にある。左側には人員 装備モジュールがあり、ここと制御室下部にある部屋に輸送される人員が乗り込むことになっている。高速で進むためか、座席にはシートベルトがあった。制御・人員モジュールから後ろの部分はエンジン機関とプロペ ラで占められている。 海自には『おおすみ』型3隻に各2艇ずつ、計6艇が配置されている。 ●『LCAC』Data 全長:27m/全幅:14m/自重量:100t/機関:ガスタービン4基2軸/出力:約16000ps /速力:約40kt |
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↑日章旗の入ったLCACが行く。ヽ(゚∀゚)ノ 画像撮影:海上自衛隊 |
○『おおすみ』 〜艦内(1)〜 格納庫から順路に従って移動する。今度は軍艦独特の急角度で幅の狭い階段を上って行くと着いたのが居住施設。施設と言っても3段(場合によっては4段になる)ベットがずらりと並んだ兵員室のようなところ。ここに最大330名の人員を収容することができるそうだ。災害時には避難民をここに収容することになっており、ここで足りなくなった場合は先ほどの格納庫が臨時の収容施設となるそうな。ただ階段がかなり急な階段なので、子供やお年寄りの階段の上り下りは難しいかも知れない。 |
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○『おおすみ』 〜最上甲板〜 |
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順路通りに艦内を進み、急角度の階段を上り最上甲板に出た。北風が強く小雪が舞っている・・・。(゚Д゚)サムイ・・・ 今まで艦内に居たので分からなかったが、外はかなり冷え込んでいたのだ。 艦尾に出た。最上甲板後部はヘリコプター発着甲板となっている。幅25mの甲板はさすがに広い。ヘリが2機が発着出来るほどの長さがあるのでさらに広い。最近の一戸建ての建て売り住宅なら何軒建つだろうかとヴァカなことを話しながら艦首へ歩いて行く。少なくても今住んでいるうちの賃貸マンションより遙かに広い。(つД`) →艦尾にあった日章旗ヽ(゚∀゚)ノ でも巻いとるやんけ・・・。反対側から撮れば良かった。_| ̄|○ |
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艦橋を過ぎて甲板前部へ移動。最前部からは船首の錨甲板を見ることが出来る。(当日は立入禁止だった) 最前部から艦尾方向を見ると、巨大な艦橋が船の半分を占めているのが良く分かる。艦橋より前の甲板前部は車輌甲板となるので、甲板表面には十字型の窪みが規則正しく配列されているのが目立つ。ここに車輌固定フックを引っかけるのだ。こんな凸凹した甲板では固定翼機 (特にジェット機)を発着させるのは不可能なのですけどね・・・。 (タイヤがバーストする。詳しくは知らないが、それ以前に甲板の鋼材の質(構造)が違うはず。) |
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