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 海上自衛隊の艦艇に搭載されている兵装をまとめてみました。各艦艇個別にまとめると重複するもので。

今までに一般艦艇公開で訪れた艦艇の装備を紹介しています。

>>艦砲 54口径127mm速射砲/62口径76mm速射砲/54口径5インチ速射砲/高性能20mm機関砲

>>対潜水艦兵器 68式短魚雷発射管/アスロックSUM発射機

>>ミサイル兵器/ミサイル発射装置 シースパロー/ハープーン対艦ミサイル /スタンダードミサイル発射機/Mk41VLS

>>その他 チャフ・ロケット発射機Mk36

艦砲

■54口径127mm単装速射砲

 イタリアのOTOメララ社が開発した速射砲。対艦ミサイル、対船舶への攻撃、陸上へ目標の艦砲射撃など多目的に使用されます。日本でライセンス生産されており、海上自衛隊では「54口径127mm単装速射砲」という名称で使用されています。

 海上自衛隊の艦艇では、『こんごう』型イージス艦(DDG)と『たかなみ』型護衛艦(DD)に搭載されています。(『あたご』型イージス艦には64口径127mm砲が搭載されています。)

 砲塔内は無人。砲塔の旋回角度は−165度〜+165度となっており、76mm砲のように360度回転が可能というわけではありません。

 

◆諸元/性能

 自重:約40t

 発射速度:40発/分

 俯仰角:−15°〜+85°

 最大射程距離:約23km

【写真】護衛艦『さざなみ』搭載の127mm砲。

■62口径76mm単装速射砲

 イタリアのOTOメララ社が開発した速射砲。対艦ミサイル、対船舶への攻撃、陸上へ目標の艦砲射撃など多目的に使用されます。日本でライセンス生産されており、海上自衛隊では「62口径76mm単装速射砲」という名称で使用されています。

 海上自衛隊の艦艇では、『いしかり』型(DE)、『ゆうばり』型(DE)、『あぶくま』型(DE)、『むらさめ』型(DD)、『あさぎり』型(DD)、『はつゆき』型(DD)の各護衛艦に搭載されている他、掃海母船『ぶんご』、練習艦『かしま』さらにはミサイル艇『はやぶさ』型にも搭載されています。

 砲塔は無人で、砲弾の装填→発射→薬莢排出まですべて自動で行われます。砲塔は360度回転が可能で、60度/秒という速度で回転できます。砲身の俯仰角は −15°

/+85°で、停止状態から所定方向への移動時間が短いことから、低空を飛来する対艦ミサイルへも対処することが可能になっています。陸上への攻撃は、有効射程距離が16kmと短く、破壊力も小さいため、あまり向いていないそうです。

 ちなみに『はやぶさ』型に搭載される76mm砲は「ステルス・シールド型」で、護衛艦などに搭載されている丸味を帯びたものではなく角張った形態をしています。

◆諸元/性能

 自重:約7.5t

 発射速度:最大85発/分

 俯仰角:−15°〜+85°

 俯仰速度:35度/秒

 砲塔旋回速度:60度/秒

 最大射程距離:約16km

【写真】護衛艦『あまぎり』搭載の76mm砲。

護衛艦『はまゆき』搭載の76mm砲。撮影位置に

制限があるので、砲塔全景を撮影できません。

左写真の砲を右後方から撮影。後部の丸いのは

点検口。

練習艦『やまぎり』搭載のモノ。やや後方からです

が全景を撮影できました。

 

練習艦『しまゆき』搭載の76mm砲。練習艦とな

っても護衛艦時代と同じ砲を搭載しています。

練習艦『かしま』の76mm砲。付け根にカメラが

付いているのが練習艦らしいです。

 

■54口径5インチ単装速射砲

  アメリカ海軍が開発した速射砲で、対艦艇ならびに対空砲です。海上自衛隊の大型護衛艦、『はたかぜ』型(DDG)、『たちかぜ』型(DDG)、『しらね』型(DDH)、『はるな』型(DDH)などのDDG、DDHに搭載されています。

 有人砲で、砲塔内に4名、砲塔下部にある弾薬庫に12名の合計16名の兵員が必要なのと、自重が約70トンもするという重い砲なのが欠点となっています。

 なのでイージス艦の『こんごう』型(DDG)からは、無人で軽量化された「54口径127mm単装速射砲」(イタリア/OTOメララ社製)が採用されたため、最後の有人艦砲となる可能性が高い砲塔です。ちなみに「127mm砲」はDDの『たかなみ』型(2代目)にも搭載されます。

 性能はともかくとして、「127mm砲」と比べると「5インチ砲」は重厚な造りで、いかにも『軍艦の砲塔』という雰囲気がする砲塔です。DDGの『たちかぜ』型『はたかぜ』型のように前後に各1砲づつ配置された姿や、DDHの『はるな』型や『しらね』型のように前部甲板に2砲配置された姿をみると、艦を軍艦らしく引き立てているように思えます。

◆諸元/性能

 自重:約70t

 発射速度:最大30発/分

 俯仰角:−15°〜+85°

 俯仰速度:30度/秒

 砲塔旋回速度:43度/秒

 最大射程距離:約23km

【写真】護衛艦『はたかぜ』搭載の5インチ速射砲。後ろに20mm機関砲が見えます。

護衛艦『はたかぜ』の前部の5インチ速射砲。

開発されたのは1950年代の頃だとか。

『はたかぜ』艦橋から見た5インチ速射砲後部。

はっきりと見えました。

護衛艦『はたかぜ』の後部砲。砲塔下にあるのは

薬莢を受ける為のネット?

■高性能20mm機関砲(Crose-In Wepon System)

 対艦ミサイルに脅威を感じたアメリカ海軍が開発した、20mmバルカン砲(M61A1)を装備した艦艇用近距離防空システム。艦艇に搭載されている防空システムの最終手段で、防空システムをすり抜けて飛来した対艦ミサイルを撃墜するのがその役目。

 正式名称は「Mark15 Phalanx Crose−In Wepon System」(ファランクス近接防御武器システム)。アメリカ海軍を始め、海上自衛隊、NATO諸国の海軍など21カ国で採用されています。

 海上自衛隊では、「しらね」型護衛艦の2番艦「くらま」(DDH144)が初めて新造時から装備。以降、新造・既存ふくめて艦艇への装備が進んでいます。イージス護衛艦「ちょうかい」(DDG176)から最新型のBlock1Bを装備。ほとんどの艦艇が装備しているBlock0タイプも順次Block1Bに交換される予定になっています。

 レーダーで目標を探知すると、最も危険な目標を選定して追尾レーダー追跡。自艦までの距離が約2kmとなると射撃を開始します。レーダーからのデータをもとに誤差を修正して追尾・射撃を続け、目標が破壊されると次の目標を探し出し攻撃します。

ファランクスはレーダーやバルカン砲などの改良が進み、最新型のBlock1ではヘリコプターや高速水上艦艇への攻撃能力も有するに至りました。

 しかし口径が20mmで砲弾の破壊力が小さいことや、有効射程が約1500mであるために超音速対艦ミサイルへの対処時間が制約されるなどの欠点があります。そのため、後継のCIWS (近接防御武器システムの略)の開発が進んでいますが、実用までは当分時間がかかるそうなので、当分はCIWSの主役として活躍することになります。

 外観からの第一印象が『R2D2』だと思うのは私だけでしょうか?

◆性能

 発射速度:3000発/分(Block0)→4500発/分(Block1以降)

 弾倉:989発(Block0)→1550発(Block1以降)

 有効射程:約1500m

【写真】輸送艦『おおすみ』装備のCIWS。

バルカン砲台下にある円筒形の弾倉。Block0

だと989発を収納します。

護衛艦『はまゆき』搭載の高性能20ミリ機関砲。

砲身にはカバーをかけています。

護衛艦『あまぎり』搭載のモノ。システムは独立し

ているので、後から搭載することも可能だとか。

   

護衛艦『はたかぜ』搭載のモノ。砲架台を足とみ

なすと、R2D2に見えないこともないか・・・。

 

 

対潜水艦兵器

■68式3連装短魚雷発射管(Torped Launching System)

 対潜水艦攻撃に使用される短魚雷の水上艦艇用発射管。発射管を横に並べるのではなく、俵型に積み上げるような形になっています。現在ある護衛艦の標準装備品となっており、基本的には艦中央付近の両舷に1基づつ、合計2基設置されています。護衛艦の他には練習艦『かしま』にも搭載されています。

 使用される魚雷は、Mk44もしくはMk46及び73式魚雷で、これらの魚雷を高圧空にて射出します。発射管自体の操作は完全に自動化されておらず、旋回は人力で行われます。また魚雷の発射は指揮所からの遠隔操作もしくは発射機の発射ボタンを押すという2通りで行われます。

 なお魚雷は発射・着水後は自動で敵を追尾して攻撃します。

◆諸元/性能

 自重:約1t/発射空気圧:70〜140kg/cu

 管直径:40.42cm

【写真】護衛艦『はたかぜ』搭載の68式。

護衛艦『はまゆき』搭載の68式発射管。蓋が丸

い方が後方。

左写真を反対側から撮影。平らな蓋のある方が

前方で、こちら側から魚雷が発射されます。

護衛艦『あまぎり』搭載の68式発射管。ほぼ真

横からの撮影。結構長いです。

■74式アスロックSUM発射機/ASROC

 対潜水艦兵器の1つ。魚雷の後方にロケットがついており、撃ち出されるとマッハ1の速度で飛行し、目標となる敵潜水艦の直上付近で魚雷部分が切り離されてパラシュートで減速・着水。パラシュートを切り離した魚雷はホーミング(自動追尾)で目標を追尾して攻撃します。飛行するので短時間で目標に達するという利点があります。

 正式には「Anti Submarine Rocket」という名称で、略してASROKC(アスロック)と呼んでいます。アメリカが開発した対潜水艦兵器で、Mk.112というタイプのロケットランチャーを日本国内でライセンス生産した「74式アスロックSUM発射機」を、海上自衛隊の護衛艦に搭載しています。

 1基あたり8連装となっており、Mk.46または73式魚雷を発射します。射程距離は約

9000mとなっています。

 イージス護衛艦『こんごう』型、護衛艦『むらさめ』型(2代目)(DD)からは艦内に収納された垂直発射機(Mk41VLS)から発射されるようになったため、甲板上に搭載される発射機はなくなっています。

◆諸元/性能

 全長:5.0m/全幅:4.0m/全高:4.6m/自重:約22t

 有効射程距離:約9km

【写真】護衛艦『はまゆき』搭載のアスロック。

護衛艦『あまぎり』搭載のアスロック。『はつゆき』

型以降は魚雷の装填は自動化されました。

練習艦『やまぎり』搭載のアスロック。真横から撮

影。ロボットのように見えなくもない・・・。

護衛艦『はたかぜ』搭載のアスロック。発射機を搭

載するのは『はたかぜ』型が最後のようです。

ミサイル兵器/ミサイル発射装置

■艦対空ミサイル シースパロー/Sea Sparow

 海上自衛隊では「短距離艦対空誘導弾シースパロー」と呼ばれる艦防衛用のミサイルです。制式には「RIM−7 Sea Sparow」といい、アメリカが開発した戦闘機に搭載される空対空ミサイルのAIM−7を元にして開発された艦艇搭載用の艦対空ミサイルです。

 8連装の発射機から発射されます。海自では多くの艦艇に搭載されています。イージス艦『こんごう』型などに搭載されるMk41VSLからの発射も可能になっています。

 海面スレスレに飛んでくる超音速対艦ミサイル撃墜用として、この「シースパロー」をさらに改良した「発展型シースパロー」(Evolved Sea Sparow Missile/ESSM)が開発されています。 

◆シースパロー諸元/性能

 射程:13km

 高度:3000m

 速力:約マッハ3

 ミサイル全長:3.65m/翼幅:1.02m

【写真】練習艦『やまぎり』搭載のシースパロー発射機。

護衛艦『はまゆき』搭載のシースパロー発射機。

後方から撮影。

ミサイルはこんな感じで格納されています。思った

よりも細い(小さい)です。

格納され公開されているのは訓練用の模擬ミサイ

ル。それを後方から。

■ハープーン対艦ミサイル/Harpoon

 アメリカが開発した対艦ミサイル。航空機から発射される対艦ミサイルとして開発が開始されましたが、後に水上艦艇と潜水艦から発射されるタイプも開発されました。航空機、水上艦艇、潜水艦から発射される、アメリカ製の代表的な対艦ミサイルとなっています。

 海自の護衛艦に見られる3連装の筒が専用の発射装置(キャニスター)。この中にミサイルが収納されています。発射後、ミサイル本体から翼が広がり目標に向かって飛行します。ちなみに潜水艦からは専用カプセルに収納されており魚雷発射管から発射。水上に出るとカプセルから発射されて翼が広がり目標に向かいます。

 ミサイルは入力された情報を元に目標近くまで慣性誘導で飛行し、目標近くからはアク

ティブ・ホーミングシステムに切り替わって目標に向かうようになっています。

 海上自衛隊ではほとんどの護衛艦に搭載されています。なお、イージス護衛艦『あたご』型(DDG)2隻には日本で開発した対艦ミサイル『90式対艦誘導弾(SSM−1B)』が搭載されることになっています。

◆ハープーン対艦ミサイル諸元/性能

 全長:4.58m

 有効射程距離:約110〜120km

【写真】護衛艦『はたかぜ』搭載のハープーン対艦ミサイル発射機。

■スタンダードミサイル発射装置/GMSL Mk13

 艦対空ミサイル発射装置。ターター(tartar)ミサイルの後継となるスタンダード(Standard)ミサイル(SM−1MR)を発射します。

 発射装置は、ミサイルの格納・選択・装填・発射準備・指向(発射方向に旋回)・発射をコントロールシステムにより行います。発射装置下部にあるマガジンはミサイルを自動装填するための弾庫となっており、ミサイル発射後は発射装置は自動的に装填位置に戻り、マガジンから次ミサイルを装填するようになっています。

 海上自衛隊の護衛艦では、『たちかぜ』型(DDG)と『はたかぜ』型(DDG)に搭載されています。なお、イージス護衛艦『こんごう』型(DDG)、護衛艦『むらさめ』型(2代目) (DD)、護衛艦『たかなみ』型(2代目)(DD)からは艦内に収納された垂直発射機(Mk41V

LS)から発射されるようになったため、甲板上に搭載される発射機はなくなっています。 

◆諸元/性能

 ミサイル装填位置:旋回 0と180°/俯仰 90°

 旋回範囲:360°

 旋回速度:96度/秒

 俯仰角:−13〜93°

 俯行速度:46度/秒

【写真】護衛艦『はたかぜ』搭載のMk13発射機。

■垂直発射装置(Mk41VLS)

 VLSとは「ertical aunching ystem」の略。日本では『垂直発射システム』と呼ばれています。

 ミサイル発射機を目標に向けてミサイルを発射するのではなく、ミサイル格納庫から直接ミサイルを発射しようと言う発想で開発されました。発射機を目標のある方向に向ける必要がなく、また各ミサイル発射口が独立しているので、ミサイル発射の時間が短縮されるという利点があります。

 真上から見ると、”セル”と呼ばれる発射口があり、それぞれにミサイルが入っています。発射の際には蓋が外れ、ミサイルが垂直に発射。あとは誘導されて目標に向かうというもの。

 垂直に発射直後のミサイルの姿勢制御が難しいことや、射撃管制装置が高価であるなどの欠点がありますが、ステルス性に優れていることやミサイル発射時間が短縮されることによる利点の方が大きいため、最近ではVLSを採用する国が増えています。

 海上自衛隊ではMk41VLSとMk48VLSを採用。Mk41は、スタンダードSM−2MRSAM、シースパロー短SAM及び垂直発射型アスロックSUMの発射機。汎用護衛艦では『むらさめ』型(16セル)と『たかなみ』型(32セル)に搭載されており、イージス護衛艦では『こうごう』型に61セル型と29セル型、『あたご』型に61セル型と32セル型が搭載されています。Mk48VLSはシースパロー短SAM専用のVLSで、『むらさめ』型に16セル型が搭載されています。

【写真】護衛艦『さざなみ』搭載のMk41VLS。

その他

■チャフ・ロケット発射機Mk36

 レーダーホーミングによる対艦ミサイルの探知を妨害する「チャフ」と呼ばれるアルミ箔を発射・散布する発射機です。アルミ箔はレーダー波を乱反射するので、飛んできた対艦ミサイルは、目標艦(「チャフ」を発射した艦)とアルミ箔を識別できません。そしてミサイルをアルミ箔に突っ込み爆発させて自艦を守るというもの。

 ただ完全に外させることは出来ないため、CIWSやミサイルなどによる追撃手段(ハードキル)も必要となります。

 「チャフ」の他には「ECM」(Electronic Counter Measure)や「フレア」(マグネシウムなどを用いた高温発熱体)などの妨害手段(ソフトキル)があります。

 

【写真】輸送艦『おおすみ』搭載のチャフ発射機。

海上自衛隊兵装 終わり

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