鳴門海峡を渡ろう!

 

 鳴門海峡は、淡路島と四国(徳島県鳴門市の大毛島)の間にある約1340mの海峡です。この海峡は、瀬戸内海と紀伊水道の間にあることから、両者の潮の干満によって鳴門海峡に約1.3mの落差が出来るために大小たくさんの渦(鳴門のうずしお)が出来ることで有名です。

 この鳴門海峡を跨ぐのが大鳴門橋です。昔はフェリーがありましたが、現在では鳴門海峡を渡る手段は大鳴門橋しかなく、自転車・原チャリでは淡路島〜四国間を行き来することは出来ません。

大鳴門橋:鳴門海峡を渡る全長1629mの吊り橋です。

小鳴門橋:全長約441mの海峡横断橋。小鳴門海峡を渡ります。未調査。

フェリー:廃航となり現存していません。

渦の道:2000年4月にオープンした施設。鳴門のうずしおを真上から見ることが出来ます。

大鳴門橋

 大鳴門橋は1976年(昭51年)7月2日に起工式が行われ工事が開始され、1985年(昭60年)6月8日に完成(供用開始)しました。全長は1629m、主塔高が約144mの吊り橋です。上下2階構造となっており、上部が6車線の自動車専用道用、下部が新幹線規格の鉄道用となっていますが、現在は上部の自動車道は4車線が供用されているだけで、下部の鉄道用はそのままになっています。

【走行日:2000年8月22日】

【走行方向:淡路島→四国(鳴門市大毛島)】

 淡路島南ICから神戸淡路鳴門自動車道に入る。四国方面に向かって2kmほど走ると、視界が広けて海が見てきた。鳴門海峡である。門崎の『道の駅』に向かう県道を過ぎるとすでに海の上。緩い右カーブを曲がるとそこから大鳴門橋の本体である吊り橋区間に入る。カーブを曲がり終えると直線区間になる。目の前に高さ約144mの主塔がそびえ立つ。大橋は若干勾配があり、四国側を見ることは出来ない。

 吊り橋区間に入り、路肩側に沿ってゆっくりと景色を見ながら走る。四国方面車線なら海(紀伊水道)の向こうにある紀伊半島の山々がうっすらと見える。橋の下を行き来する船を見下ろしながら進む。時間帯さえあえば渦潮が見ることが出来るかも知れない。

 2本目の主塔を見上げながら通過すると、すぐに大毛島の孫崎に到着する。2分ほどで大鳴門橋を渡り切ってしまった。

1.大鳴門橋を淡路島側から見る。橋の

  淡路島側の付け根付近の鉄道用部

  分は100mほど歩くことが出来る。

2.神戸淡路鳴門自動車道を淡路島側から

  撮影。この日は風がやや強く、スピード

  を出すとバイクが流された。

3.写真2のカーブ付近を下から見るとこうなっ

  ています。この辺は海に突き出た高架道

  路。

4.1996年6月に、決死の覚悟で路肩

  を超徐行しながら撮影した写真。こ

  の頃は通る車は非常に少なかった。

5.自動車道を四国側から撮影。四国側か

  らだとほぼ直線のまま大橋に入る。

6.孫崎にある『エスカヒル鳴門』の屋上から撮

  影した大鳴門橋。すぐ向こうに淡路島の門

  崎が見える。

◇◆◇ 大鳴門橋 ◇◆◇

 明石海峡大橋と比べると、大鳴門橋は距離も主塔の高さも半分以下であることから小さく見える。それでも巨大な吊り橋であることには変わりはなく、橋の付け根付近から見ると巨大な橋である。

 大鳴門橋は片側2車線の4車線で供用されているが、計画では片側3車線の6車線まで拡幅出来るらしい。そのためか車線と路肩には余裕がある。明石海峡大橋のように路肩は金網ではなく、アスファルト舗装になっているので、バイク・車なら停まって渦潮の写真を撮影出来そうな様子だが、大鳴門橋は全区間駐停車禁止となっているので撮影は不可能である。主塔には監視カメラが設置されている。

 1996年のときは、交通量がほとんどなかったのでどさくさに紛れて撮影したが、現在では交通量も増え、車道を車・トラック・バスが100k/hぐらいで爆走しているために横風をもろに受けたり橋が揺れるので、特にバイクで停まるのはやめておいた方がいいだろう。70〜80k/h位で流しながら横目で見る程度にしておいた方が良い。もし風景を撮影したかったら、車の助手席かバスに乗って撮影するしか手段はないと思う。

 大鳴門橋も、他の吊り橋同様に横風があるとバイクなら簡単に流されてしまう。2000年8月の時は風速10m/sの風が吹いていたが、それでも100k/hで簡単に流されてしまった。バイクで風の強い日に渡る際には注意が必要だ。また雨の日はジョイント部分でタイヤが滑ってしまうので、さらに注意が必要だ。

小鳴門橋

 『大鳴門橋』があるから『小鳴門橋』があるわけではなく、四国本島と大毛島の間にある小鳴門海峡にかかっているために『小鳴門橋』と呼ばれています。

 1959年(昭34年)11月に着工し、1961年(昭36年)7月に完成(供用開始)された海峡横断橋で、全長441.4mの吊り橋です。四国本島側と海峡中央の鍋島、それに大毛島側の3カ所に主塔がる『多径間吊り橋』という構造だそうです。この橋は、まさしく神戸淡路鳴門連絡ルートの『最初の一歩』となったのです。

 供用開始時は有料でしたが、後に無料開放され現在では県道11号線の一部となっています。1987年(昭62年)には神戸淡路鳴門自動車道の鳴門北IC〜鳴門IC間が開通(供用開始)されましたが、こちらは撫養橋という橋で小鳴門海峡を渡っています。

【未走行】

◇◆◇小鳴門橋◇◆◇

 大鳴門橋を渡り終えてHP作成の資料を調べている時に、この橋の存在を知しました。『あっ、小鳴門橋もあったんや!』と気付いても時既に遅し。写真も撮っておりません。

 またいずれ再訪してレポートいたします。

フェリー

 大鳴門橋が完成(供用開始)する前には、淡路島と四国本島(もしくは大毛島)を結ぶフェリーが存在しました。福良(淡路島側)〜鳴門(四国側)を結んでいた『鳴門フェリー』と阿那賀(淡路島側)〜亀浦(四国側)を結んでいた『淡路フェリー(鳴門線)』。淡路島〜四国連絡航路は2航路も存在していたのです。

☆★☆ 鳴門フェリー ☆★☆

 『鳴門フェリー』は、1954年(昭29年)4月に登場した本四連絡航路の鳴門海峡側の航路でした。登場時は地元海運会社が委託運航していましたが、1956年(昭36年)に日本道路公団が運航を引き継ぎました。しかし民間の『淡路フェリー』との競争に敗れてしまい、1978年(昭53年)に廃止されてしまいました。

☆★☆ 淡路フェリー ☆★☆

 『淡路フェリー(鳴門線)』は1965年(昭40年)4月に運航を開始した、阿那賀(淡路島側)〜亀浦(四国側)の約5kmを約20分で結んでいたフェリーでした。1日36往復の24時間運航という淡路・四国間の大動脈で、トラックや車が列をなして乗船待ちしていたほど繁盛し、その勢いは『鳴門フェリー』を廃航に追い込んだほどでした。

 1985年(昭60年)6月8日の大鳴門橋開通(供用開始)後も、船を小さくして便数を1日7往復に減便するなどして存続しました。しかし利用者の減少に歯止めがかからず1日3往復まで縮小。それでも採算が取れなかったため、1995年(平7年)10月に航路休止。1年後の1996年(平8年)10月に正式に航路そのものが廃航となってしまいました。

 現在、淡路島〜四国間を結ぶフェリー航路は定期航路はもとより不定期航路すら存在していません。それゆえ自転車・原付バイクでは淡路島〜四国間を渡ることは出来ません。大鳴門橋の鉄道空間を利用して、『しまなみ海道』のように『徒歩・自転車道』と『原付道』を作ってもらいたいのですが、『渦の道』完成でそれも不可能になったようです。

渦の道

 大鳴門橋が2階構造で、上部が自動車道用で下部が鉄道用であることは前に述べました。

 その下部の鉄道用の部分は、1973年(昭48年)11月の『新幹線整備法』による『四国新幹線』(大阪〜徳島〜高松〜松山〜大分)を通すために作られたモノでした。工事着工後の1978年(昭53年)に、大鳴門橋を自動車道単独橋にするという話が出たのですが、四国(の政財界)を揺るがす大事件となり、てんやわんやしている間に『自動車道・鉄道併用橋』として建設され完成しました。その後、国鉄の財政事情が悪化し分割民営化という道をたどり、『四国新幹線』建設は凍結。また相方の明石海峡大橋が自動車道単独橋となったことからも、大鳴門橋の下部を列車が走る姿を見ることは出来なくなってしまいました。

 大鳴門橋が完成してから約15年。その間、鉄道用部分は保守・点検用通路として使用されましたが、『このまま残しておくのはもったいない』という声があがり、『渦潮を真上から見ることの出来る遊歩道』の構想が持ち上がりました。いろんな検討の末、徳島県が中心となって1998年(平成10年)夏に建設開始。2000年(平成12年)4月22日に徳島県立『渦の道』としてオープンしました。

【訪問日:2000年8月22日】

 県道からの取り付け橋を渡ると、大鳴門橋5Aアンカレイジの鉄道用空間に設けられた『渦の道』入口に到着する。夏休みなので子供連れの家族やツアー観光客で中はごった返していた。券売機で入場券を買って自動改札口から中に入る。遊歩道は1車線ぐらいの道幅で、両壁は金網が張られているだけでまともに潮風を受けてしまう。潮風を受けながら遊歩道を歩いて行く。

 改札口付近は橋の中央を歩いていたが途中で直角クランクを2カ所曲がり、大鳴門橋の東側(淡路島→四国車線側)の端を歩くようになる。金網越しに鳴門海峡を航行する船や漁船を眺めながら歩く。しばらく歩くと人垣が出来ている所があった。遊歩道の床には眺望ガラスとして強化ガラスが埋め込まれており、そこから橋の下の海を眺めることが出来るのだ。人垣はガラスから下の海を見下ろしている人々だったのだ。『ほぉ〜』と思って覗き込む。ガラスが埋め込まれているのは分かっているのだが、いざガラスの上に踏み出そうとすると一瞬躊躇してしまう。海面から約40mもの高さがあるので大変高いのだ。小さな子供や年輩の人は怖がってガラスの上を歩くことはしなかった。

 4カ所ほどの休憩所の前を通り過ぎ、陸地から450m離れた展望室に到着する。大橋の桁空間一杯に設けられた展望室で、瀬戸内海側と紀伊水道側の両方の景色を眺めることが出来る。展望室は海面から45mの高さにある。めちゃ高い。展望室は回遊式でぐるっと一回りすることが出来る。展望室の床には計8枚の眺望ガラスが埋め込まれており、渦潮を足下に見ることが出来る。途中の通路から見下ろした海よりも、展望室の床から見下ろした海の方が荒れており、ガラスの上に歩み出るときは吸い込まれそうで結構怖かった。

 展望室からの周りの眺めは大変良い。この日は快晴で、小豆島の島影や紀伊半島の山々の姿がはっきりと見えた。

 渦潮を生で見たかったが、時間の都合で渦潮の発生時間前に『渦の道』を後にした。 

1.大鳴門橋の四国側の橋台に設けられた

  『渦の道』入口。

2.改札口から入ると1車線幅の遊歩道が

  続く。改札口からしばらくは橋の真ん中

  を通る。

3.やがて橋の東側を通るようになる。途中

  でなにやら人垣が・・・

4.これを見ていたのです。強化ガラスによ

 る眺望ガラスで床下の海を覗いていたの

 です。左が私。右は見知らぬ女の子の

 足。夏休みだったので子供が多かった。

5.展望室には畳一枚ほどの眺望ガラス(4

  枚1組)が2組計8枚も設置されていま

  す。ここから渦潮を見ることが出来るそう

  です。

6.鳴門海峡の荒波を上から見る。ガラス

  がはめ込まれていると分かっていても、

  足を踏み出すときは勇気がいりました。

☆★☆ 徳島県立『渦の道』 ☆★☆

 遊歩道『渦の道』は、大鳴門橋補剛桁の空間内に設置されています。橋本体への風の影響を軽減するために通路の両壁は金網になっており、絶えず潮風を受けながら歩くことになります。カメラなどの精密機器は塩害に注意しなくてはなりません。

 展望室は陸上から450mの地点にあり、展望室自体は海面から45mの高さにあります。そこまで歩いて行くわけですが、遊歩道が長いために途中には4カ所の休憩所が設けられています。休憩所の正面も展望室のようになっているので、座って大鳴門橋からの眺めを見ることが出来ます。展望室まで往復すると約1km歩くことになるので、結構良い運動になります。

 渦潮の発生時間は入口に掲示されていますので、それに合わせて訪れることをお勧めします。

◇◆◇ 『渦の道』DATA ◇◆◇

入場料:大人500円 中高生400円 小学生250円

営業時間 9:30〜17:30(入場17:00まで)

10〜3月は16:30(入場16:00まで)

定休日 毎週月曜日と12/29〜31

駐車場 なし。鳴門公園駐車場を利用。

◇◆◇ 駐車場について ◇◆◇

 『渦の道』の取り付け橋までは県道が通っていますが駐車場はなく、停めるスペースもありません。バイク・車は鳴門公園駐車場(有料)に停めなくてはなりませんが、土日祝日や観光シーズンは満車となり空き待ちの車の長〜い渋滞の列が発生します。訪れるならバイクか路線バスを利用することをお勧めします。

 駐車場から『渦の道』取り付け橋までは結構距離があり、神戸淡路鳴門自動車道を2回も横断しなくてはなりません。途中には大鳴門橋架橋記念館『エディ』やエスカヒル鳴門などの施設があるので、これらを含めてぶらぶら散策するのがお勧めです。駐車場からだとトータルで2kmほど歩かねばならないものと覚悟して下さい。

 『渦の道』は大鳴門橋の約1/4の長さしかありません。この先の約1200mはご覧のような保守点検用通路が淡路島に向かって延びているだけです。

 淡路島側には道の駅『うずしお』があります。『渦の道』のような遊歩道はありませんが、大鳴門橋下の道路公団の詰所横に50mほどの無料展望台があるだけです。そこからの眺めもなかなかです。

 『渦の道』の完成で、『徒歩自転車道』『原付道』の設置は不可能となりましたが、どうせなら『渦の道』を淡路島まで延長して欲しいものです。

展望台の先端から撮影した大鳴門橋。

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