大阪渡船

甚兵衛渡船(じんべえとせん)

起点:大正区泉尾7丁目→終点:港区福崎1丁目/管理・運営:大阪市建設局

◆概要

 尻無川を渡る渡船場で、大正区泉尾7丁目と港区福崎1丁目を結んでいます。川幅の距離は94m。昼間は15分おきに運航されています。大阪渡船の中では最も利用者数が多く、一日平均約1580人(H13年度)の利用があります。

 昔、甚兵衛という方によって設けられた渡船が前身です。 そのまま渡船名にもなっています。今からは想像もできませんが、江戸時代頃は尻無川沿いは紅葉の名所だったとか。その甚兵衛渡しにあった茶店は「蛤茶屋」と呼ばれ、蜆(しじみ)や蛤(はまぐり)が名物だったそうです。

◆乗船レポート【港区→大正区方向で乗船】

 R172「みなと通り」三先1交差点を曲がり2車線道を進んで行きます。南港中学校横を通り抜けて休線中のJRの貨物線を越えるとT字交差点に到着。この交差点正面に甚兵衛渡船乗り場(港区側)があります。大きく『甚兵衛渡船』と書かれた看板があるのですぐに分かります。

 スロープを登ると護岸堤防(?)を越えて尻無川右岸にある乗り場に入ります。簡単な待合所があるだけの質素な作り。他には川に浮き桟橋があるだけです。事務所は対岸の大正区側にあり、渡船も対岸に係留されています。昼間は15分おきなので、出発時刻までに結構な人数の方達が集まってきます。自転車だけでも10台ぐらいはあったように思います。大正区側には市営住宅や高校があるので利用客は多いのです。

 出発時刻なると対岸から渡船が出発。すぐにこちら側に到着。下船が終わると乗船開始。乗客が途切れると扉を閉めて係留ロープを外して出発。川幅は94mほどしかなく、渡船は出航と同時に加速しながら急カーブを描いて右に旋回します。かなりの横Gがかかるので、ぼ〜としていると転けそうになるので注意が必要です。すぐに対岸に近づきます。再び急カーブを描いて左に旋回。渡船はS字を描いて川を渡りきりました。

 港区側と同じような作りの乗り場です。大正区側には事務所があるので、入り口付近は広場になっています。港区側と同じく大きな看板がありますし、どんつきにあるので、泉尾工高西交差点から来た場合でも場所はすぐに分かるでしょう。

 港区側の乗り場。交差点のどん突きにありま

 す。スロープを登ると待合所につきます。

 乗り場から対岸の大正区側を眺めます。渡船は

 3隻配置されています。

 時間となり対岸を出発。S字を描いてこちらに向

 かってきます。

 港区側の桟橋に到着。係留ロープをかけて下船

 開始。船も桟橋も揺れています。

 港区側から大正区側乗り場に向かいます。S字

 を描いて船の右舷側から桟橋に着きます。

 大正区側の乗り場。事務所があるため、広々と

 しています。分かりやすい場所にあります。

◆乗り場行き方

>>大正区側

 地下鉄・JR環状線大正駅から大阪市営バス「新千歳」行き(98、98A、108系統)乗車。「泉尾4丁目」バス停下車。北西へ徒歩約5分。

>>港区側

 地下鉄・JR環状線弁天町駅下車。弁天町バスターミナルより市営バス106系統乗車。「福崎1丁目」バス停下車。南東へ徒歩約5分。地下鉄中央線朝潮橋駅からは徒歩で約20分です。

乗船日:2005年4月17日

自転車(MTB)にて乗船。

>>『大阪渡船』 TOPに戻る

落合上渡船(おちあいかみとせん)

起点:大正区千島1丁目→終点:西成区北津守4丁目/管理・運営:大阪市建設局

◆概要

 木津川と三軒屋川の合流点の少し下流側にある渡船場です。乗り場からは木津川水門と三軒屋川水門が見えます。

 落合上渡船は大正区千島1丁目と西成区北津守4丁目を結ぶ、全長約100mの渡船です。平成13年度現在、1日平均約470人の利用があります。

 落合上渡船場より上流側(北側)はR43、下流側(南側)は千本松大橋まで橋はないため、落合下渡船共々大正区東部と西成区西部を結ぶ最短ルートの一部となっています。

◆乗船レポート【大正区→西成区方向で乗船】

 千島ガーデンモール前を通り過ぎ、千島公園前の交差点を曲がります。交差点には『落合上渡船場』と書かれた案内標識があるので、見落とさない限りは間違うことはないでしょう。南→北方向の一方通行道路を200mほど進み、下町の工場街のような感じの町中に入ると道路右側に落合上渡船場入口があります。目印は赤い郵便ポストと『落合上渡船場』と書かれた大きな看板。これがなければ工場かと思ってしまうような建物です。

 緩やかな上り坂を登ると、護岸岸壁が高いためかなり急なスロープが現れます。ここをクリアすると大正区側乗り場に到着。事務所は大正区側乗り場にあるので、渡船はこちら側に係留されています。乗り場からは木津川水門がよく見えますが、三軒家川水門は少ししか見えません。

 出発時間になると事務所から係員が下りてきて扉を開き乗船。乗客が途切れたところで扉を閉め、係留ロープを外して出発します。川幅が約100mはあるので、大きなS字を描いて船は進みます。甚兵衛渡船よりも横Gはそんなに強くありません。船上からは木津川水門と三軒家川水門がよく見えます。

 やがて対岸(西成区側)の乗り場が近づき、急カーブを描きながら船の右舷側から浮き桟橋に接岸。到着となります。乗客の乗下船が終わると船はすぐに引き返し、先ほどと同じくS字を描きながら進んで行き、今度は船の左舷側から大正区側乗り場の桟橋に接岸します。乗客下船後、係留ロープで船を固定すると係員は事務所に引き上げ、乗り場には静寂が戻ります。

 西成区側の乗り場は待合所があるだけ。スロープを上がって陸地に出ると工場の脇道に出ました。案内は見あたりません。少し進むと木津川左岸を通る道路に出ますが、道路側にも案内は見あたりません。唯一あると言えば、信号に設置されている『落合上ノ渡』という交差点標識のみです。知らないと行き過ぎてしまうような西成区側の入口です。

 大正区側の乗り場。下町の工場街の中にありま

 す。看板がなければ工場のように見えます。

 かなり急なスロープを上って乗り場に向かいま

 す。お年寄りが歩くには少し辛い勾配です。

 時間となり桟橋を出発。S字を描いて西成区側

 の乗り場に向かってきます。

 西成区側乗り場到着後、早々に引き返す渡船。

 この後左→右と曲がり対岸に接岸します。

 西成区側乗り場からは2つの水門を一度に見る

 ことが出来ます。

 西成区側乗り場入口は大変分かりにくくなって

 います。目印は『橋本商店』と交差点標識。

◆乗り場行き方

>>大正区側

 地下鉄・JR環状線大正駅から大阪市営バス「鶴町4丁目」行き乗車。「大正区役所前」バス停下車。東へ徒歩約13分。

または94系統「天保山」行き乗車で「千島公園前」バス停下車。東へ徒歩約5分。

>>西成区側

 南海高野線(汐見橋線)津守駅下車。北西へ徒歩約9分。

 地下鉄千日前線桜川駅もしくは四つ橋線住之江公園駅から29系統乗車。「北津守4丁目」バス停下車。西へ徒歩約5分。

 市営赤バス「西成西ループ」乗車。「落合上渡船場」バス停下車すぐ。

乗船日:2005年4月17日

自転車(MTB)にて乗船。

>>『大阪渡船』 TOPに戻る

落合下渡船(おちあいしもとせん)

起点:大正区平尾1丁目→終点:西成区津守2丁目/管理・運営:大阪市建設局

◆概要

 落合上渡船の少し下流(南側)にある渡船場です。

 落合下渡船は大正区平尾1丁目と西成区津守2丁目を結ぶ、全長約138mの渡船です。 下流にある分だけ落合上渡船よりも距離は少し長いようです。平成13年度現在、1日平均約400人の利用があります。

 開設時期は不明ですが、19世紀中頃にはすでに存在していたとのことです。

 落合下渡船場付近には10月末〜4月末にかけて300羽近いユリカモメが飛来するそうです。 

◆乗船レポート【西成区→大正区方向で乗船】

  落合上渡船場(西成区側乗り場)入口から木津川左岸の道路を南下します。工場と倉庫が並ぶ工場街を過ぎて600mほど進むと落合下渡船場の西成区側乗り場入口に着きます。『落合下渡船』という看板があるので、上渡船乗り場よりも分かりやすい場所にあります。『カネミ倉庫』という倉庫の南側にあるので、上渡船から来た場合はこの倉庫を目印にすれば良いでしょう。

 緩やかなスロープを上るとバス停の待合所のような待合所に着きます。待合所から上流方向には落合上渡船場と水門が見えます。近い場所にあるのです。事務所は大正区側にあるので、向かい側の桟橋に2隻の渡船が係留されています。

 出発時間となり対岸から渡船が出発。大きくS字を描いて船の右舷から桟橋に接岸。係留ロープで固定すると乗船が始まります。コの字型のスロープを下ると浮き桟橋に渡ります。MTBともども乗船。乗客が途切れると出発。S字を描きながら進んで行きます。川幅が大きいのでそんなにGはかかりません。

 すぐに大正区側の浮き桟橋に船の左舷より接岸。乗客はあっという間にいなくなり、係員も事務所に引き上げます。コの字型のスロープを上がると、隣はスクラップ工場で廃材の山を眺めることができます。スロープを下ると大正区側の渡船場入口へ。

こちらにも看板があります。

 西成区側の乗り場。目印はこの横断歩道でしょ

 うか。

 スロープを上った所にあるのが待合所。

 バス停の待合所のような造りです。

 待合所からコの字のスロープを下って桟橋に

 向かいます。遠くに水門が見えます。

 対岸の大正区側からやって来た渡船。S字を

 描いてやって来ます。

 大正区側乗り場入口。横の建物が事務所。

 写真左側には廃材の山がありました。

 大正区側乗り場入口。看板があるのですぐに分

 かるでしょう。

◆乗り場行き方

>>大正区側

 地下鉄・JR環状線大正駅から大阪市営バス「鶴町4丁目」行き乗車。「大正中央中学校前」バス停下車。東へ徒歩約12分。

または94系統「天保山」行き乗車で「小林公園前」バス停下車。東へ徒歩約3分。

>>西成区側

 なんばバスターミナル、地下鉄千日前線桜川駅もしくは四つ橋線住之江公園駅から29系統乗車。「津守神社前」バス停下車。北西へ徒歩約 8分。

乗船日:2005年4月17日

自転車(MTB)にて乗船。

>>『大阪渡船』 TOPに戻る

千歳渡船(ちとせとせん)

起点:大正区北恩加島2丁目→終点:大正区鶴町3丁目/管理・運営:大阪市建設局

◆概要

  同じ大正区内の北恩加島(おかじま)と鶴町を結ぶ渡船で、大正内港を渡るため岸壁間は371mと長い距離になっています。平成13年度で1日平均約770人の利用があります。 昼間は20分おきで運航しています。

 もともとこの地には『千歳橋』がありました。1922年(大11年)に木橋として架橋され、1940年(昭15年)には鉄製橋に架け替えられます。戦後、大正内港が整備されるに至って1957年(昭32年)に『千歳橋』は撤去され、その代わりの施設として設けられたのが千歳渡船なのです。

 1955年(昭30年)に民間から大阪市港湾局所轄の渡船となり、57年(昭32年)に直営化。64年(昭39年)に大阪市建設局に移管されて現在に至っています。現存する(建設局管理の)渡船の中では一番新しい渡船となります。

 現在の『千歳橋』(3代目)は、1992年(平4年)度に本格着工。2003年(平15年)4月28日に開通しました。橋には車道の他歩道も設けられました。千歳橋開通により渡船は廃止されるかと思われましたが、地上から橋の歩道までの上り下りが大変ということなどから存続。現在も重要な移動手段として活躍しています。

◆乗船レポート【大正区鶴町→大正区北恩加島方向で乗船】

  千歳橋西詰(鶴町側)の真下付近に渡船場の鶴町側乗り場があります。クネクネしたスロープを上るとかなり広くなった尻無川と大正内港を見ることが出来ます。対岸にある千歳橋の橋脚の真下付近に北恩加島側の乗り場が小さく見えます。他の渡船と比べると結構離れていることが分かります。

 しばらくすると対岸より渡船が出発。距離が371mもあるのでゆっくりと少しづつ近づいてきます。こちら側に近づくと大きく右に回り、そのまま滑るようにして浮き桟橋に接岸します。鶴町側には団地が多いことから利用客も多く、下船が終わるまで少し待つことに。また乗船客も多いので乗れるかどうか心配でしたがどうにか乗船出来ました。通勤時間帯のような渡船状態となり出発します。

 遠くになみはや大橋が見え、巨大な千歳橋の橋梁の下を進んで行きます。しばらく進むと北恩加島側の乗り場に到着。内港を進むので、大阪渡船の中では『渡船』らしい雰囲気を体験出来ます。

 北恩加島側の乗り場入口は千歳橋東詰の真下。R43方面から来た場合は、橋を渡る車道に入らず側道に入って下さい。橋の下を進む側道の行き止まりに乗り場入口があります。

 鶴町側乗り場。千歳橋西詰のほぼ真下にありま

 す。入口には千歳橋の記念碑があります。

 やって来た渡船をほぼ真横から撮影。基本的な

 構造はこんな感じです。扉は手動。

 浮き桟橋に接岸。係員が飛び降りて係留ロープ

 で船を固定します。

 こちらは北恩加島の乗り場。千歳橋橋脚の下

 にあります。

 北恩加島乗り場から見上げた千歳橋。歩道が

 あるのですが、上り下りが大変だそうです。

 側道の行き止まりにある乗り場入口。渡船場の

 乗り場らしい入口です。 

◆乗り場行き方

>>大正区北恩加島側

 地下鉄・JR環状線大正駅から大阪市営バス98、98A、108系統乗車。「新千歳」バス停下車。南西へ徒歩約10分。

または94系統「天保山」行き乗車で「小林公園前」バス停下車。東へ徒歩約3分。

>>大正区鶴町側

 地下鉄・JR環状線大正駅から大阪市営バス「鶴町4丁目」行き乗車。終点の「鶴町4丁目」バス停下車。北東へ徒歩約5分。

乗船日:2005年4月17日

自転車(MTB)にて乗船。

>>『大阪渡船』 TOPに戻る

>>Next