連絡船で渡ろう!

 

 1999年5月の西瀬戸自動車道こと『しまなみ海道』の暫定開通により、平行していた島々を結ぶフェリーは大規模な整理が行われ、5月2日をもって今治・三原間のフェリーなどが廃航されてしまいました。

 『しまなみ海道』に平行するフェリー(連絡船)は全てが廃航とならずに残存している航路もあり、車でなら大橋を渡るよりも安い料金で乗れるようになっています。仕事で頻繁に島々を訪れる人はフェリーを利用することの方が多いようです。

 『しまなみ海道』暫定開通により廃航・減便となったのはルート沿いの主だった島の間のフェリーで、『しまなみ海道』のルートから外れた離島へのフェリーはあまり変化がなかったようです。

 今回は西瀬戸自動車道『しまなみ海道』に平行しており、かつバイクでの乗船が可能なフェリー(連絡船)に乗船してきました。ただし離島経由とか島から三原方面に向かうフェリーには乗船していません。『しまなみ海道』のルートに沿った航路に限定しています。

 ☆★☆ 『しまなみ海道沿い』のフェリー ☆★☆

調べてみると全て航路が廃航になった訳ではなく、00年5月現在では、

向島〜因島、生口島〜大三島〜伯方島の間にフェリー(連絡船)が存在していないだけで、

他の島の間ではフェリー(連絡船)や高速艇が存続していました。

『しまなみ海道』を自転車や原付バイクで往復する時、

行きか帰りのどちらかはフェリーを乗り継いで行けるということです。

個人的には『船旅』を組み込んだ方が旅情があって楽しいと思うのですが・・・

(下の写真:尾道と因島を結ぶ三光汽船。因島重井東港にて)

 

 

◇◆◇ ご案内 ◇◆◇

・本州(尾道)→四国(今治)方向に、本州に近い順に載せて行きます。

・上り便か下り便かはレポート内に記載しています。

・【 】内はフェリー会社名。

・乗船日:全て2000年5月27日 

 

本州(尾道新港)〜因島(重井東)間 【三光汽船】

因島(金山)〜生口島(赤崎)間 【三光汽船】

伯方島(尾浦)〜大島(宮窪)間 【シーセブン(有)】

大島(下田水)〜四国本島(今治港)間 【協和汽船】

(注意)

内容は訪れた時(2000年5月)のものです。

現在では料金が改定されていたり、

減便されていたり廃航になっている航路もあるかも知れません。

整備などで運休する事もあり得ます。

乗船する際は、必ず事前に調べるようにして下さい。

 

本州(尾道新浜)〜因島(重井東):三光汽船

【本州→因島方向の便に乗船】

 尾道にはフェリーは発着していないように思われるかも知れないが、尾道と因島を結ぶフェリー航路が存在する。

 本州側(尾道)の乗り場は、尾道市街の西端にある尾道新浜港。フェリーは船首側だけに乗船口があるタイプで、車の場合バックで乗船しなくてはならない。船首と船尾に乗船口があるタイプの近距離フェリーに乗り慣れている(それが当たり前だと思っている)と、最初は少し戸惑う。乗船する車が乗船口直前で方向転換してバックで乗船する風景はどこか妙な光景に見える。大型バイクでも甲板上で方向転換しなくてはならない。車両甲板は車が10台ほど積める位の広さである。

 港には事務所・待合所らしき建物があるのだが、出航ギリギリに乗ったので営業しているのかは分からなかった。乗船してから甲板員に乗船料を支払う。KSRUの他には、車3台と営業に回っている銀行員らしき方のカブと自転車が1台乗っているだけであった。

 客室には30〜40席ほどの座席と畳4畳ほどの広さの雑魚寝フロアーがある。運転手はそのまま車に乗っているようで、客室に居るのは自転車やバイクで乗ってきた人と旅客として乗船した人ぐらいで、人数も5人ほどであった。

 尾道新港を出航すると、フェリーは向島を見ながら尾道水道を西に進む。岩子島を左側に見ながら進路を南に向け、細島を過ぎると遠くに因島大橋を望みながら進んで行く。内海を進むので波は小さく揺れは少ない。やがて因島鉄工団地の前を過ぎ、尾道新港を出てから約20分で因島重井東港に到着した。

 当然なのだが、岸壁には船首から接岸する。車が下りてからバイクが下りる。重井東港には5台ほどの車と原チャリが1台待っていた。入れ違いにそれらがフェリーに向かう。先頭の車から岸壁上で方向転換してバックで乗船していった。

 重井東港にも事務所・待合所らしき建物がある。港で待機中に乗船券を購入するようだ。

<<注意>>三光汽船(新浜〜重井東航路)は、現在運航されておりません。

1.尾道新港出航直後。出航直前に乗船したので、港の写真

  撮っていません。

2.因島の重井東港到着後に撮影。桟橋上には方向転換の順

  番を待つ車列があり、乗船口直前では軽バンが方向転換し

  ている。

☆★☆ 本州(尾道新浜)〜因島(重井東) ☆★☆

 このフェリーは、尾道と因島の間を向島を通らずに結んでおり、向島市街の渋滞をパスして尾道市街に直接入ることが出来る。

 バイク・車とも因島大橋と新尾道大橋を渡るよりも安い値段で尾道〜因島を渡ることが出来る。例えば大型バイク(750cc以上)だと600円(旅客+バイク代)で、西瀬戸自動車道利用の1150円よりも約半額の値段で渡ることが出来るのだ。調べていないが車も自動車道利用よりも格安に渡ることが出来る。

 125cc以下のバイクだと500円(旅客+バイク代)、自転車だと420円(旅客+バイク代)となり、逆に原付道を渡るよりも高くつくが、船内では休憩できるし雨の日は濡れずに渡ることが出来る。直接尾道市街に入ることが出来るのも魅力だ。(料金は2000年5月現在)

 フェリーは尾道新港と重井東港を7〜19時の間に出航し、30〜60分おきに運航している。(2000年5月現在)

因島(金山)〜生口島(赤崎):三光汽船

【生口島→因島の便に乗船】

 生口橋の西瀬戸自動車道生口島北ICを越えて1kmほど行くと赤崎港のフェリー乗り場に到着する。ここが因島・生口島間のフェリー乗り場(生口島側)である。赤崎港は広く車の待機所まで設けられている。

 フェリーに乗り込む。フェリーは船首と船尾の両方に乗船口にあるタイプで、車は10台ほど積めることが出来る。乗船券などは乗船してから甲板員から購入する。赤崎港を出航するとフェリーは生口橋を左側(北側)に見ながら西へ進む。海面は穏やかで揺れはほとんど感じられないが、中型貨物船が通過した後に発生する波で大きく揺れることがある。バイクならスタンドを立て、車ならサイドブレーキをかけておいたほうが良いだろう。

 5分ほどで対岸の因島金山港に到着する。こちら側は赤崎港ほど広くはなく、岸壁付近の道路が少し広くなっているだけであった。

1.フェリーで因島金山港に向かう。ライダーもバイクに乗った

  まま。

2.因島金山港。遠くに生口橋を見える。車が下船すると自転車

  を押したおっちゃんが下りて来た。

☆★☆ 因島(金山)〜生口島(赤崎) ☆★☆

 このフェリーもバイク・車だと生口橋を通るよりも安く因島・生口島間を行き来することが出来る。フェリーも1時間当たり3本体制で運航しており、少し待てばすぐに対岸に渡ることが出来るので、利用する人が結構いるようだ。主に営業車や運送会社の車が中心で、自転車に乗った地元の人の利用もある。

 自転車での運賃は旅客運賃含めて95円で、自転車歩行者道で渡るために急勾配の坂を上ることを考えればフェリーで渡る方が楽なのだろう。

 バイクだと125cc以下で旅客運賃含めて125円と生口橋の通行料より高いが、126cc以上のバイクでは200円以内なので生口橋を自動車道で渡るよりも安く渡ることが出来る。(料金は2000年5月現在)

 赤崎港発は6:50〜19:30、金山港発は7:00〜19:40で、20分間隔で1時間当たり3本体制で運航されている。(2000年5月現在)

伯方島(尾浦)〜大島(宮窪):シーセブン(有)

【大島→伯方島の便に乗船】

 このフェリーは伯方島と大島を結ぶ航路なのだが、主な役目は両島の間にある鵜島を結ぶことにあるようだ。

 R317の大島区間終点が大島側の乗り場である宮窪港。フェリーが発着する港なのだがかなり寂しい港である。待合所があるのだが切符売り場は閉められており無人待合所となっていた。壊れた100円の有料TVがあるだけだった。

 しばらく待つと鵜島から一見大型漁船かクルーザーに見える船が近づいてきた。最初は漁船かと思ったが、その船がフェリーであることが分かったのは防波堤を越えて港内に入って来てからだった。フェリーというよりは連絡船と言った方がぴったりくるような船である。船は船首に乗船口があるタイプ。車両甲板は軽自動車が3台ほど止めれば一杯になる位の広さしかない。船尾に小さいながら客室もある。いわゆる『漁船フェリー』である。

 乗船したのは私を除けば、鵜島に配達に向かう郵便局員と鵜島に住んでいるおばあさんだけ。甲板上で料金を支払ったのだが、乗船券を発行するかどうか尋ねてきた。地元客以外の者が乗船するのは珍しいようだ。このフェリーは鵜島への生活必需品を運ぶ役割もしているようで、郵便の他にも野菜や小包も積み込まれていた。

 宮窪港を出航すると遠くに伯方大島大橋を見ながら北東に進む。8分ほど進むと鵜島の港に到着。先ほどの2人が下りて、鵜島からおっちゃん1人と軽トラ1台(老夫婦乗車)が乗船して来た。宮窪港で載せた荷物も下ろされた。

 鵜島の港を出港して8分ほど進むと伯方島尾浦港に到着。尾浦港は漁港であった。

1.大島の宮窪港。正面の大型漁船のよ

  うな船がフェリーである。

2.尾浦・宮窪間のフェリー。初めて見た

  ときは驚きだった。

3.船尾から船首方向を見る。

4.伯方島の尾浦港。漁港であった。

5.到着した船は係留所に移動していった。

  後ろに見える島が鵜島。

6.鵜島から乗船してきた軽トラ。車はご

  覧の通りバックで乗船するのだ。

☆★☆ 伯方島(尾浦)〜鵜島〜大島(宮窪) ☆★☆

 このフェリーには今治→尾道に向かって走った時、フェリーの出航時間近くに宮窪港に着いたので乗船した。

 近距離の連絡フェリーは船首と船尾に乗船口があるタイプが当たり前だと思っていたので、向こうから近づいてくる船首にしか乗船口がないフェリーを見て驚き、車がバックで乗船するという光景を見てさらに驚いた。

 観光客がこのフェリーに乗るのは珍しいようで、宮窪港で待っている時に地元のおっちゃんに感心され、船員には驚かれてしまった。このフェリーは地元の人達が運営しているようで、乗客も船員も地元の人と皆顔見知りで和気藹々とした雰囲気がして良かった。

 125cc以下のバイクの料金は540円(旅客+バイク代)。伯方大島大橋を渡る方が遙かに安い。このフェリーを使って伯方島〜大島間を渡るバイク・車はほとんどなく、伯方島〜鵜島もしくは鵜島〜大島間の利用が主のようだ。(料金は2000年5月現在)

 このフェリーは1日の運航便数が8便しかないので、乗船しようとすれば事前に時間を調べておく必要がある。(2000年5月現在)

 大島〜伯方島を結ぶ航路は他に芸予観光フェリーがある。今治〜大島(友浦港)〜伯方島(木浦港)〜岩城島〜佐島〜生名島〜因島(土生港)を高速艇とフェリーで結んでいる。ただしフェリーは、今治〜大島〜伯方島間は朝晩のみの運航で、昼間は伯方島〜〜因島間のみの運航となっている。

大島(下田水)〜四国本島(今治港):協和汽船

【大島→四国方向の便に乗船】

 来島海峡大橋と平行して来島海峡を渡る航路もあり、大島の下田水(しただみ)港と四国本島の今治港を結んでいる。

 来島海峡大橋の大島側の付け根付近にある下田水(しただみ)港が大島側の出発港。港は広く車の待機場は広い。バイクは待合所前に停める。車待機場入口に有人切符売場があるが、ここは車・トラック専用。自転車とバイクは待合所内にある自動券売機で乗船券を購入する。乗船に際して特に指示はなく、フェリーが着いて下船する車が下り終わる頃に乗船口に向かう。船首と船尾の両方に乗船口があるタイプ。待機する車よりも先に乗船し車両甲板の端にバイクを停める。

 客室はかなりゆっくり出来る造りになっている。旅客のみの利用も多いようで結構席が埋まる。自販機も揃っている。窓は大きく展望をよくしている。来島海峡大橋を眺めることが出来る。快晴の昼間であれば見晴らしも良いのだろうけど、乗ったのは18:30発の便でおまけに曇りで小雨がぱらついていたので眺めは今一つであった。

 船は25分かけて来島海峡を渡り、18:55頃に今治港に入港した。今治港は市街中心部にほど近い所にあった。

1.大島の下田水港フェリー乗り場。来島海峡大橋の付け根に

  ある。大橋に向かうループ橋は原付道。

2.今治港からのフェリーが入港する。

  (暗かったので今治港の写真は撮っていません)

☆★☆ 大島(下田水)〜四国本島(今治港) ☆★☆

 このフェリーは大島から直接今治市街中心部に渡ることが出来る。126cc以上のバイク・車では来島海峡大橋を利用するよりも安く渡ることができ、市街中心部に直接入ることが出来るので、利用客は結構多かった。バイクなら大型バイクでも810円、車では往復運賃(割引あり)も設定されているが自動車道利用よりも安い。

 自転車・125cc以下のバイクでは来島海峡大橋を渡るよりも高くなるが、大橋への急勾配の連絡道を上ることや連絡道入口から今治市街までの距離を走ることを考えると、直接市街中心部に入れることは大きな魅力となる。雨や風の強い日はフェリーで渡る方が遙かに安全だ。(料金は2000年5月現在)

 フェリーは今治港・下田水港両港とも6:30〜21:30の間30〜60分間隔で運航している。(2000年5月現在)

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瀬戸内海を渡ろう!〜しまなみ海道編〜