中国山陰ツーリング1999

 

 

 

 

期間:1999年5月19日(水)〜5月23日(日)

 

 

 4月にZRX1100を購入後、長距離ツーリングに行く機会がなかったが、5月20日〜22日にかけて福岡で学会があるので、それを口実にツーリングに出かけた。今回はまだ走ったことのない中国山陰を彷徨くことにした。

 

 

 

1999年5月19日(水)

 今回はまず関門海峡で遊ぶことにしたので、新門司港に行くことにした。仕事から帰って来てからパッキングを済ませて、自宅からすぐの所にある泉大津港に向かった。

 さすがにこの時期にツーリングに出かけるライダーは居ないようで、フェリーターミナルにいるライダーは私一人だけ。他はトラックと乗用車のみである。乗用車の乗り込みが始まる。しかし乗船手続きを済ませているに、30分経っても指示がない。このまま置いてけぼりを喰らうのではないかと思っていたが、出発15分ぐらい前にようやく指示されて乗船した。

 阪九フェリーの2等船室は全面禁煙。雑魚寝フロアは人が少ないので広々と使える。一部屋に2〜3人という状態なので、周囲の人も気にならずゆっくりと寝ることが出来た。

(5/19の走行距離:11km)

フェリー内にて。輸送される農作業

機械と一緒であった。バイクは1台

だけ。

1999年5月20日(木)

 7:45、フェリーは新門司港に到着。トラック・車が下船した後、唯一台のバイクが最後に下りる。場所は違えど約1年ぶりの九州である。九州地方は、低気圧が去ったので快晴なのだが風が少し強い。福岡での学会があるので22日までは九州で滞在ということになる。

 8:30頃に出発するが、朝の通勤時間帯にもろに当たり門司市街への道は大渋滞。あぁそうか、世間では平日なのだ。9時頃に門司市街に到着。R198全区間走破してから市街を抜けて和布利公園に向かう。ここから関門海峡を一望出来る。すぐ先に対岸の下関市が見える。海峡というよりは広い川という感じがするが、船の往来を見ているとやはり海峡である。

 有料の関門国道TNで対岸の下関に渡るが、交通量が多いTNなので排気ガスの臭いが充満していて息苦しくなる。下関側に渡ると、今度は関門人道TNを歩いて関門海峡のを一往復する。関門海峡は歩いて渡ることが出来るのだ。関門大橋は後日バイクで渡るし、鉄道の関門TNはJRの在来線・新幹線とも乗って通っている。これでも海峡を渡る手段は全て使ってはいない。まだフェリーが残っている。『フェリー?』と北九州や下関以外に住んでいる方々は思われるかも知れないが、なんと関門海峡にはバイク・車を積むフェリーが就航しているのだ。

 狭い関門海峡にフェリーがあるのを知ったのはつい最近のこと。学会に行くので福岡と北九州市街の情報を集めていて知ってしまったのだ。こりゃ乗らなくてはと下関市街を抜けて彦島に向かうと、あった乗り場が。その名も『関門海峡フェリー』。本州と九州を結ぶフェリー航路の中では最短距離の航路で、乗船時間(片道)約13分。下関からでもフェリーで九州に渡ると、雰囲気が出てきて『九州にやって来たぞ!』という気になれる。関門大橋やTNでスカッと渡るよりはフェリーで渡ってはいかがだろうか。

 下関・小倉間を北九州市街を通らずに渋滞無しで行き来出来るので、車・トラック(特に大型トラック)の利用が多い。また便数も多いので利用もしやすいはずだ。他にも旅客のみの渡し船もあるらしいが、これは今回時間の都合で乗っていない。(写真・詳細は『関門海峡を渡ろう!』参照)

かつての九州の玄関口だった門司

港駅。朝の通勤時間帯なのにひっ

そりしている。

門司港駅構内にある『九州鉄道0理

の碑』。

 再び九州の地に降り立つ。小倉市街の渋滞をパスしたいので、北九州都市高速(450円)に入る。ガラガラの高速を走って小倉市街をパスしてR10へ。交通量の多いR10を行橋まで南下してR496にスイッチする。R496は行橋側では整備も進んでいたが、まだまだ1.5車線のローカル国道区間が多い。南下するにつれだんだんと田舎に入って行く。山道となったR496からR500にスイッチして英彦山へ。公営宿『しゃくなげ』にある英彦山温泉に寄る。ここの露天風呂から見る山の緑が綺麗だった。

 この温泉で、今日泊まろうとした太宰府YHに連絡してみるが休館日で泊まれないという。北九州YHに連絡するとこちらも休館日だとか。福岡市内のビジネスホテルは満杯の可能性が高い。ここに来て泊まる所がないという状況に陥った。今回はキャンプツーリングではないので野宿道具は一切持って来ておらず焦る。太宰府近くに二日市温泉があるのでとりあえずそこまで行って考えることにし、R500で甘木に抜けてR386で二日市に向かう。JR二日市駅前の観光案内所で一人でも泊まれる宿を紹介してもらう。今日の宿は二日市温泉の『糀屋旅館』となった。

 二日市温泉では公衆温泉の『博多湯』と旅館が経営している『二日市バーデンハウス』に入った。

(5/20の走行距離:171km)

R496を南下するとやがて1.5車

線の山道になってR500と合流す

る。

記念すべき?第500号の国道。実

際には500本もないんですけどね。

1999年5月21日(金)

 ZRX1100を『バーデンハウス』の駐車場に停めていたが、二日市市は結構大きな街で夜も地元の中高生がウロウロしていたので、バイクがいたずらされないかと気になり度々起きて窓から確認していたので余り眠られなかった。結構小心者だ・・・

 それでもやはり寝ることは寝たようで、気が付けば8時であった。朝食後準備をして、10時過ぎに旅館を出発し福岡市天神の学会会場に向かう。福岡市中心街の渋滞を抜けて学会会場へ。天神周辺はバイクも駐車禁止だというので、川沿いのホテルの敷地にバイクを停める。今回のツーリングの口実となった学会に参加するが、荷物と駐禁が気になるために昼頃に早くも会場を後にする。予定では今日一日福岡に居るつもりだったが、泊まる所がないために予定を切り上げて1日早く福岡市街を離れることにした。

 福岡ICから九州自動車道に入り東へ向かい、今日の内に中国地方へ移動することにした。九州道めかりPAで昼飯を食べた後、最後に残った関門海峡大橋を渡る。片側3車線の海峡大橋を2分ほどで渡ってしまう。一瞬の間に九州から本州に渡ってしまった。めかりPAから見ていると結構距離がありそうな気がしたのだが、実際走るとこんなモノでしたかという感じ。関門間で一番旅情があったのはやはりフェリーだった。

 本州に渡って中国道を東へ走って、美弥ICで下りてR435〜r32で秋吉台に向かう。秋吉台に着いたのが16:30頃だったので観光客の姿は少ない。秋吉台を走るr32(カルストロード)を走る。時期を外していることもあり観光客の車は皆無。結構気持ちよく走れた。r32(カルストロード)は、カルスト台地を走る気分爽快の快走ワインディング道路。信州の『ビーナスライン』を走っているような気になる。お勧め。

 17:30頃に秋吉洞近くの秋吉台YHに到着。季節外れのため、今日の宿泊は私一人。YHのペアレントは、たった一人の宿泊客のためにわざわざ風呂まで沸かしてくれたのであった。感謝。

(5/21の走行距離:193km)

 

学会会場。分かる人には分かる。

古賀SAで休憩。パッキングに苦労し

た。荷掛けフックを付けてくれぇ〜!

広々とした秋吉台YH。今日は私一人。

(9/22撮影)

1999年5月22日(土)

 昔のYH全盛時代の面影を残す秋吉台YHを9:30頃に出発する。r32(カルストロード)の途中にあった長者ヶ森に寄る。バイクを駐車場に停めて、高原の中の遊歩道を約15分ほど歩いて丘の上の北山展望台まで登る。展望ダイアからはカルスト台地の風景を一望出来る。緑の高原と青い空が広がる。この光景を独り占めである。また高原に吹く風が気持ち良く気分爽快になれる。めちゃ幸せな瞬間であ〜る。秋吉台に来て、もしかしたら秋吉台がアメリカ軍の爆撃演習場になっていたかも知れないことを初めて知った。ならなかったからこうして気分爽快になれるのだ。

 10時過ぎに秋吉台を出発してr31を西へ向かいR316にスイッチ。R316を北上して長門湯本温泉・恩湯に寄る。ここにある公衆浴場の一つだ。建物は唐風の造りで昔ながらの共同湯の雰囲気が漂う。入浴料140円というからなおのこと。温泉を出てから管理人のおばちゃんと話すが、関西から来る人は少なく、関東の人達がけっこう訪れるとか。やはりアクセスの関係なのだろう。山口県や広島県・島根県西部にもいい温泉は結構あるのだ。

 長門湯本温泉を出て北上し長門市からR191に入り、R191を東に向かって日本海を見ながら走る。R191の萩〜下関間は『長門海岸ブルーライン』の愛称が付けられている。ネーミングから分かるように海岸沿いに走る道なのだが、長門〜萩間は山中を走るワインディング区間。時々日本海が木の切れ間から見える程度なので、シーサイドランとはいかないが、それなりにワインディングを楽しめる区間だ。(下関〜長門間は走っていないので分かりません・・・)

 観光都市の萩に入ると、観光バスや車、それに観光客が多くなる。街中は自転車で彷徨く観光客が多いので、すり抜けの時は注意が必要。この先のR191萩〜益田間は『北長門コバルトライン』の愛称が付いていた。萩市奈古付近までは車の通行量が多くてペースが落ちるが、奈古を過ぎると交通量が減るので快走出来るようになる。日本海を眺めながら海岸沿いをひたすら走る。シーサイドランを満喫できる区間だ。

 仏峠を越して島根県に入っても、R191は海岸沿いに進む。交通量はあるが流れがあるのでスムーズに進む。益田市内でR9に入るがシーサイドランは続く。R9は山陰の主要都市を結ぶ大動脈なので、車・トラックの通行量が非常に多い。スキを見て抜いて進む。長門から2時間ほど休憩無しで走り続けたので、R9沿いの道の駅『三隅』で昼飯がてら45分ほど休憩する。

 R9を東に進み、浜田・江津といった山陰の主要都市を通る。一部ではBPが完成しているが、それでも市街では交通量が多くなり渋滞気味となる。江津市から離れると流れはスムーズになる。

 温泉津町に入りR9から離れて温泉津温泉に寄る。かつての銀山街道の街道筋にある温泉津温泉『元湯』は、湯治湯の雰囲気がある共同湯。浴室は温泉成分がこびり付いて茶色くなっており、この共同湯の歴史を物語る。近くには『藤の湯(なまずの湯)』というもう一つの共同湯もある。

 元湯を出てから、温泉津駅近くの小浜温泉に寄る。こちらは元湯ほど賑やかではなく、かなり静かな共同湯であった。脱衣所には昭和30年代前半の温泉津商店街の広告がそのまま残されており、それがまた良い雰囲気を醸し出している。静かに入りたい方にはこちらを勧める。小浜温泉を出てから管理人のおっちゃんとしばらく話す。ここ数年の観光客の激減と温泉津温泉の凋落ぶりを嘆いていた。アクセスが悪いのが一番の問題だと話していた。結構いい温泉なのだが・・・

 小浜温泉を出てから仁摩町まで走りYH城福寺に泊まることにする。山あの中腹にあるので急坂を登ってYHにたどり着いた。お寺のYHだけに、やはりペアレントはお坊さんだった。寺とYHが合体しているのも妙なものだった。 ここのYHは高台にあって眺めは非常に良い。夕日の眺めはもちろんのこと晩はイカ釣り漁船のライトも見える。お勧めのYHだ。(タイトルバックの写真は城福寺から見た夕陽)

 この日はJRで旅行しているというMさんと私の2人だけだった。Mさんは、YH全盛時代からのホステラーさんだそうで、昔の桃岩荘(北海道礼文島の有名なYH)や各地の主要YHのことを話してくれた。明日はJRで山口に移動して津和野辺りのYHに泊まるとか。

 この日の夕食はすき焼き。お寺のYHだけに仏様と同じ釜の飯を食べたことになる。ちなみに今回のツーリングでまともな夕食を食べたのはこの日だけであった・・・

(5/22の走行距離:227km)

北山展望台からの風景。正面右に

見える森が長者ヶ森。

誰もいない展望台で寝転がる。風

が気持ちよかった。な〜んも考えな

い。

R191鎖峠。R191は山中も走る。

道の駅から見た日本海。手前の線

路はJR山陰本線。

小森温泉。寂れた共同湯。こういう

温泉は好きです。

1999年5月23日(日)

 この日は朝から快晴だったが、低気圧が接近しており九州では雨が降っているという。中国山陰では夕方、大阪でも晩から雨が降り出し、月曜〜火曜にかけてかなり本格的に降るという。雨の中彷徨くのは好きではなく、また期間も延ばせないので、蒜山付近でもう一泊する予定を取りやめて今日中に帰ることにする。長い1日になりそうだ。

 9時過ぎにYHを出発してR9を太田まで走る。太田でようやく海岸沿いのルートから山中へ入って行き、R375〜r288〜r30を走って三瓶山に向かう。三瓶山を周回する三瓶山高原道路を走る。西側は高原と森の中をのんびり走り、東側では牧場の中を走る道で、気分爽快になれる道路だ。この日は日曜だったので、広島方面からの日帰りツーリングのグループが結構走りに来ていた。今回のツーリングで初めて出会ったツーリングライダーは、三瓶山で会った人達かも知れない・・・

 三瓶山からr40を東に向かう。途中のR184との交差付近は、ダム工事が進んでおり付け替え道路の工事と既存道路の改良工事が進んでいた。こんな所にもダムを造っているのだ・・・

 R54に出てから北に向かう。日曜日だけあって交通量は多いが、流れが良いので一定のペースで走る。三刀屋町でR314に入って南に進路を変える。2車線の快適道路を快走するが、木次町内で『木次町横断マラソン』がR314をメインコースとして行われていて交通規制が行われていた。R314を走る参加者のあとについてゆっくりと走ると、マラソンでの先導白バイの気分になれる。

 マラソンのゴールを過ぎると、R314は山深い所を走る国道になる。この付近は最近出来たBPのようで、直線の立派なTNと適度なカーブが連続する。車が皆無なので平均80k/hぐらいで走る。ついつい走りに熱中してしまい、寄るつもりであった出雲湯村温泉を行き過ぎたことに気が付いたのは仁多町に入ってからであった。引き返す気になれないのでそのまま進むことにする。

 JR出雲横田駅を過ぎると、R314はJR木次線と平行して進む。スイッチバックで有名な出雲坂根駅に寄る。誰もいない無人駅だと思って行ったら、駅構内から出る湧き水を汲み来た人達で賑わっていた。時間があればスイッチバックをJRのローカル列車で体験して見るのもいいかも知れない。

 出雲坂根駅を過ぎると、R314の名物『おろちループ』が始まる。高低差約170mをループ橋で2周して稼ぐのだ。実際に走ってみると、カーブがあまりに長く続くので延々とバイクを倒して走っているような気になる。いい加減嫌になり始めるとようやく2周目に入り、カーブを走るのに飽きた頃にやっとループ区間が終わり直線区間に入る。なおループ区間は追い越し禁止区間なので、前に遅い車や観光バスが走っていたなら大人しくした方が良い。

 『おろちループ』はスケールが巨大過ぎて、大橋の上から見ても一望出来ない。各地にもループ橋があるが、『おろちループ』は、九州のR221人吉ループや三重県のR166高見ループよりも遙かに巨大なループ橋であった。

 ループ橋を過ぎて三井野原を過ぎると広島県に入る。広島県に入ってもR314は2車線快走道路が続く。引き続き快走していたので、途中にあった比婆山温泉に入り損ねてしまう・・・そのままR314を南下して備後落合を通って東城町に到着した。R314単独区間は東城町まで。この先、福山まではR182と重複して続く。R314は東城市街と仁多町内の一部区間が1.5車線である他は、2車線の快適国道であった。車も少なくゆっくりと流して走るにはちょうどの3ケタ国道だった。

 このまま温泉に入らないで帰るのは嫌だったので東城温泉に寄った。クアハウス風の温泉だったが露天風呂もありゆっくり出来る。R314を走った後に寄るとちょうど良いかも。

三瓶山は男三瓶・女三瓶・子三瓶と

3つの三瓶山から成る。

スイッチバックで有名なJR木次線

の出雲坂根駅。

巨大すぎて全景を撮影できない。二

重ループ構造のR314『おろちルー

プ』。

R314を快走して南に向かう。

三井野原にある分水嶺。瀬戸内側

と日本海側に分ける地点。

 13時少し前に東城ICから中国道に入り東に向かう。車が少なく平均80k/hでのんびり走る。このまま高速を走れば夕方には自宅に着いてしまいそうなペースだったので、途中の津山ICで一度高速を下りてR429津山〜波賀間を走って寄り道する。途中のR429志引峠で、ソロツーリングの帰りだという明石在住のおっちゃんライダーと話す。これが今回のツーリングの間で他のツーリングライダーとの最初で最後の会話であった・・・今回は他のツーリングライダーにほとんど出会わなかった。時期外れということもあるし、やはり皆四国方面に流れているのだろうか。

 R429を波賀まで入りR29で南下。山崎ICから再び中国道に入り東に向かう。この頃、すでに中国地方西部では雨が降っていた。混雑する西宮名塩SAに19:30頃に到着。徐々に曇って来ていたが雨が降る気配はない。ここまで来るともう帰って来たも同然。後は中国道〜近畿道〜阪和道を走り、21:30少し前に自宅に到着。5日間のZRX1100初長距離ツーリングは無事に終了した。

 翌24日の中国山陰地方は雨。大阪も24日晩〜25日昼まで雨であった。雨の中を走っても面白くないので、2日予定を繰り上げて帰ったのは正解だったかも知れない。しかし、よくもまあ島根から1日で帰ってきたものだと、帰宅後走行距離を見ながらそう思ったのであった。

(5/23の走行距離:536km)

(中国山陰ツーリング1999 総走行距離:1138km)

岡山県と兵庫県の境・R429志引

峠。

21:30頃に自宅に無事に到着する。

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