しまなみ海道&九州ツーリング

 

期間>>2003年(平15年)5月8日(木)〜11日(日)

バイク>>KSRU

>>ソロツーリング

<<九州編>>

◆今春は分散ツーリング

 今年の春は長距離ツーリングに出かけていない。ZRX1100の車検があり、いろいろとパーツを交換するため金がなかったのだ。どこかに行きたいのだが、日数的に長期間は無理なので、分散して短期間でツーリングに行くことにした。

 で、第二弾の『KSRUで行く「しまなみ海道&九州」フェリー泊のみ3泊4日ツーリング』を実行。まずは前半の「しまなみ海道」を終える。

 そんでもって後半の九州へ向かい、ダイヤモンドフェリーで大分へ向かう。このまま九州の酷道走行をしようかなぁ・・・  仕事はど〜する?(^^;)

↑北海道じゃございません

●2003年5月10日(土)【大分FT→別府観光港:250km】

◇今日も晴れ

 昨日の疲れからベットに入るとすぐに爆睡状態へ。目が覚めたのは午前5時30分。なんと大分FT到着30分前だった。急いで下船準備をして荷物を持って車両甲板に下りる頃には接岸が終わっていた。ハードケースをKSRUのキャリアに装着。エンジン始動。ライトが点灯していることを確認して下船する。KSRU、九州初上陸だ。

 空は快晴。今日も一日中快晴という予報。「今年は例のジンクスとは無縁のようだな。雨男から

おさらばじゃ!」と喜ぶあめふらしでした。

 撮影したりしていたので、FTを出発したのは6時半過ぎだった。早朝の大分市街を散策・・・迷ってR197に出る。そこからR210に入って九州内陸へ向かう。朝の大分市街は交通量も少なく、珍しく快適に走ることが出来た。

 R210からR442に入り竹田に向かうコースを取る。R442は2001年4月に走っているのだが、大分近郊では2年ほどの間にBPが完成するなどして姿を変えていた。道ネタの取材も兼ねながら淡々と進んで行った。

◇ダム無馬太・・・?

 R442を淡々と進んで行く。大分市から郊外の大分郡野津原町に入ると、山間の農村地帯を進んで行くようになる。r412(県道久住高原野津原線)が分岐すると、ローカル国道となり狭路のまま山間を進んで行く。昨日はほとんど海を見ながら走っていたので、山を走ると妙に新鮮に感じる。

 野津原町の山中に進んで行く。段々畑が広がるのんびりした山間の農村地帯。R442はローカル国道らしく、ウネウネと曲がりながら小さな集落を繋いで進んで行く。実に日本の田舎らしい光景が広がり、「ホッ」とする。

 ところがここにもダム計画が進んでいるという。(゚Д゚)ゴルァ 大分川水系の七瀬川にロックフィフルダムを建設してせき止め、総貯水量27500千立方メートルのダムを造ろうというもの。すでにR442の付け替え道路が一部完成しており、ダムの本体工事も進んでいる。その名も『大分川ダム』。大分川の治水と水源確保という、よく聞く建設理由をならべてもねぇ・・・。

 1970年(昭45年)に予備調査が始まったそうで、2002年(平14年)4月にダム本体の工事着工。2010年(平22年)に完成予定。完成までに約40年・・・。その間に社会情勢も変わっただろうに。

 これでまた1つ、山村と山々の豊かな自然が消えてしまいます。。・゚・(ノД`)・゚・。 他に方法はないのでしょうかねぇ・・・。

◇阿蘇山へGO!

 R442で朝地町に出る。ここからはR57に入りひたすら西へ向かう。九州横断国道だけあって車・トラックの姿が多いが、流れはよいので順調に走ることが出来る。ただKSRUなので、大型トラックとのすれ違いで飛ばされそうになるのが辛い。大分県から熊本県に入る。西に進むにつれて、沿道は高原風の景色に変わる。どことなく北海道を走っているような気分になる。阿蘇の外輪山の外側に当たる付近を進んで行く。やがて前方に阿蘇山が見えてくる。ほどなくして滝室坂に入る。

 阿蘇山はカルデラ山なので、外輪山の外側は緩やかな斜面だが、内側はかなりの急斜面となる。そのため道路も外輪山外側では緩勾配だが、内側になると急勾配の坂道となり葛折りのカーブが連続する道となる。R57も例外ではなく、外輪山の内側に入ると急勾配の急カーブが連続する山道となる。大型トラックは速度を落として走る(走らざる得ない)ので、渋滞が起きやすいところだ。

 滝室坂に入った時、前方には車は見えず「これ幸い」と下りのワインディングに入って行った。ところが2kmほど進むと、大型トレーラーを先頭にした車列に落ち着き、あとは車列について走る羽目に・・・。速度は30〜40k/hぐらい。仕方ないなと思って走っていると、後ろに付いた車がやたらと接近してくる。こちらが小さいバイクなので車間距離の感覚が掴めないのだろうか?よく見るとおばはんだった。(゚Д゚)ハァ・・・ 追突されるのが嫌だったので、撮影がてら適当な所で路肩に止まって道を譲った。

 滝室坂を下り終えると熊本県一の宮町坂梨に着く。ここからR265に入って熊本県高森町へ向かう。R265は九州中央を縦断する3ケタ国道。思わずKSRUで縦断したくなったが、ここは我慢する。急勾配と急カーブが続くワインディング区間に入る。80ccのKSRUだが、エンジンはす

こぶる快調で勾配を気にせずにぐんぐん上って行く。5月の新緑がまぶしい阿蘇山麓を爽快な気分で走る。

 箱石峠までは右側に阿蘇山の高岳を見ながら進んで行くことになる。やがて箱石峠に到着。峠からは高岳を始めとする阿蘇山の山々を見ることができる。峠でしばらく休んでから高森町へと

下って行った。

 箱石峠の南側は森中を通って行く。それはそれで風景に変化があって楽しい。途中でR325の北側を通る広域農道に入って、今度は阿蘇山の南側の山麓を西に向かって進んで行く。車がほとんど走っていない広域農道をのんびりと走り、時々止まっては阿蘇山を眺めてみる。南側から眺める阿蘇山は別の山のように見えた。

◇阿蘇山頂へ

 やがてかつての有料道路だったr111(県道阿蘇吉田線)に入る。有料の阿蘇登山道路時代から何度か走っている道だ。前に走ったのは2001年(平13年)4月なので、約2年ぶりの走行となる。

 この道は阿蘇山の山麓を上って行く2車線道なのだが、急勾配の坂道が延々と続き急カーブも何カ所か存在するワインディング道路。前回はZRX1100だったので、ほとんど気にせず上ることができたが、80ccのKSRUで上るとやはりパワー不足の感じがする。今回はバニアケースを

取り付けて少し重たくなっているのでなおさらそう感じた。いつもと違って、ゆっくりと景色を楽しみながら登山道路を上って行った。急勾配の坂道の途中からは、阿蘇南側の白川沿いに広がる田畑や町を一望することができる。水田は田植えが終わった頃だろう。5月らしい風景が広がっていた。登山道路の途中にある火の山TNを越える。するとそれまで緑の草原の中を走ってきたのが一変して、岩石が転がる茶色い荒野の中を進んで行くようになる。火山の近くを走っている感じが濃くなってきた。烏帽子岳を左側に見ながら進むと、阿蘇町営道路との交差点に到着する。ここを右折すると、ロープウェイ乗り場だ。周辺は駐車場が設けられておりドライブインもあ

る。火口への立ち入りが制限されていると、ここから火口を眺めることになるのだ。今日は火口への立ち入りはOKなので、料金所で100円を支払って、阿蘇町営の阿蘇登山道路で火口を目指す。

 登山道路周辺は緑がほとんどなく、岩石が転がるだけの荒野が広がっている。火口に近いので有毒ガスの影響を受けるのだろうか。日本離れした光景が広がっていた。午前10時過ぎに火口近くの駐車場に到着。麓から延びるロープウェイの火口西駅の隣にある。

 バイクを停めて火口を眺めに行く。2年前と変わらず火口からはもうもうと煙が出ている。水蒸気+火山性ガスなどもろもろ。

時間があるので火口周辺の展望台などに上って火口を眺める。もうもうと噴煙をはく火口。すごい迫力だ。地球が生きていることを実感できる。今日は風向きによって噴煙が途切れて、火口の下の方がチラリと見えた。「ここでラドンのつがいが息絶えたんだなぁ・・・(ノД`)」などと、分からない人には全く分からないことを思い出す。(数回ここに来ているが、毎回同じことを考えていたりする・・・)

 ここは何回来ても飽きない場所だ。初めて九州ツーリングに行かれる方は是非立ち寄って下さい。(火山の機嫌が悪いと火口へは近づけません)

 駐車場に戻る。九州ツーリングの定番である阿蘇火口まで、KSRUで来たことがうれしくなり火口近くの駐車場で、噴煙をバックにKSRUを撮影する。撮影に気付いて立ち止まってくれた外人さんが不思議な顔で私を見ていた。(^^;)

 すぐ近くの砂千里ヶ浜でも撮影をした後、阿蘇山頂を離れてr111へ戻った。

 もうもうと噴煙を上げ続ける阿蘇山火口。

 この日は機嫌が良くて火口に近づけました。

 近くの展望台から見た火口付近。すぐ近くまで

 近づいて見ることができる。

 緊急避難用のトーチカ。噴火したらどうなるんでし

 ょうか?

 駐車場から烏帽子岳方向を見る。左端の道が

 阿蘇登山道路で荒野を走る。

 火口の南にある『砂千里ヶ浜』。こちらも荒野の

 中。遊歩道が整備されている。

 阿蘇の噴煙をバックにKSRUを撮影。九州の阿

 蘇までKSRUで来た証です。

◇温泉巡り 〜内牧温泉〜

 r111に戻って草千里ヶ浜に向かう。前を走っていた観光バスがいきなり蛇行して何かの塊を避けた。何かと思ったら馬糞だった。それもかなり大きな馬糞。KSRUで乗り上げたら、下手すれば転けて糞まみれになっていたかも知れない。『馬糞に乗り上げて転倒・・・』というのは実に情けない。草千里ヶ浜周辺を走る場合はご注意を。

 午前11時前に草千里ヶ浜の前にあるドライブインに入り休憩。少し早いが昼飯をとることにしてカレーライスを注文する。ここのカレーライスは火山の噴火をイメージしていて面白かった。火口近くの砂千里ヶ浜とは対称的に緑一色の草千里ヶ浜を少し見た後出発。r111を北に向かう。

 赤水に抜けるr298が分岐すると、r111は阿蘇山の北西斜面を進んで行く。勾配は少し緩くなり少し走りやすくなる。道の左側にはカルデラ盆地に広がる阿蘇町の町や田畑が見える。開放感一杯の道路だ。

 阿蘇山頂から下る車はほとんど走っていなかったので、マイペースでのんびりと下って行く。や

がてかつての料金所跡を過ぎ、阿蘇YH前を通り過ぎると阿蘇の町中に入る。阿蘇山の周囲を一周したことになる。

 R57に入って東に向かう。JR豊肥本線を越えてからR212に入り、阿蘇町内牧温泉に向かった。温泉街の中にある共同浴場『大阿蘇の湯』が目的地。この温泉は1996年(平8年)の初九州ツーリングで入った共同温泉浴場だ。約7年ぶりの訪問なのだが、建物も浴室も当時と全く変わっていなかった。KSRUなのでダートの駐車場でも平気だ。96年の時は、荷物満載のZRX400で苦労して停めた記憶がある。

 温泉の鉱物成分がこびり付いて赤茶色に染まった浴槽には、適温のお湯が注がれていた。垂れ流しなので浴室の床も赤茶色だ。浴槽に入ると疲れがとれる。実に気持ちが良い。やがて地元の方が入って来た。そのまま自然に世間話をする。こういうところが共同浴場の良いところだ。賀曽利隆氏が言うところの『湯の中談義』というやつだ。

 たまに失敗して一人浮いてしまうことがあるのが難点だが、旅の恥も良い思い出になるので、共同浴場に入った時は思い切って話しかけてみよう。すると意外と知らない情報を得ることがある。地元の人との会話もツーリングの魅力の1つなのだ。

◇やまなみハイウェイ

 12時半すぎに内牧温泉を出発。R212を北上して途中で通称ミルクロードと呼ばれるr45(県道阿蘇公園菊池線)に入る。広大な牧場の中を駆け抜ける爽快道路で、走っていると北海道(道東)を走っているような錯覚に陥る。

 沿道にある大観峰に寄ってみる。少し高台にあって草原の中を通る道を一望できる。道東っぽい風景で、北海道にいるような気分になるが、すぐ横にある阿蘇山が九州にいることを思い出させてくれる。

 大観峰からだと阿蘇山を北側から眺めることができる。残念ながら雲がかかっていたために阿蘇山がはっきりと見えなかったが、観光スポットとして有名だけあって眺めは大変良い。昼頃とあって駐車場はバイクと車で一杯だった。

 ここは九州のライダー達が集まってくる場所のようで、福岡や熊本、大分、鹿児島といった九州ナンバーのバイクが20台ぐらい集まっていた。天気の良い土曜日なのでツーリングに来たのだろう。ネイギッドやアメリカン、レプリカにオフロードとバイクの見本市会場のような状態だった。

 あまりに人が多いので早々に出発する。r45に出て東に少し走って、「やまなみハイウェイ」こと

r11(県道別府一宮線)に入った。「やまなみハイウェイ」は九州中央部を南北に走る九州縦断道路。今は県道の一部となっており、元々は有料道路だった道で全線2車線の快適な道だ。森の中や高原の中を走る区間があるかと思えば、急勾配でタイトコーナーが連続する峠道があるなど変化に富む道路。大分から阿蘇に向かう場合のメイン観光ルートとなるので、土日やシーズン中は観光客の車や観光バスで混雑する。見通しの良い直線区間や、前後に車がいないときがあった時など、つい速度を出して走りがちになってしまうが、大分県内では白バイがあちこちに隠れているのでそれもできない。観光道路と割り切って、のんびり走るのがいいだろう。(=゚ω゚)ノ旦~

 熊本県内のr11(やまなみハイウェイ)は、高原の中を行く2車線道。アップダウンがあるものの平坦な区間もあって快適に走ることが出来る。北→南に向かうと阿蘇山、南→北に向かうと久住山と、九州を代表する山々を見ながら走ることが出来る。

 前後に車はなくマイペースで快調に進んで行く。久住山もはっきりとその姿を現しているので、途中でダートの農作業用道路に入って久住山をバックにKSRUを撮影。しばらく久住山を眺めてぼ〜っとする。

 r11に戻り北上を続ける。南小国町瀬の本でR442を過ぎると、r11は2車線道のまま急勾

配・急カーブが連続するワインディング区間に入る。かなり急な勾配なので、ハードケースを装着したKSRUだと少ししんどい。それでもギアを落として60k/h前後で坂道を上って行く。坂を上りきった所が牧ノ戸峠。標高1130mもある峠で、冬期は積雪もある所だ。九州と言えども、標高の高い所は雪が降る。当然、道路も路面凍結・積雪があるのだが、『南国九州=暖かい』というイメージがあるためか甘く見て、冬期に無茶をするライダーやドライバーは多いそうだ。┐(´-`)┌ 

 1996年(平8年)の初九州ツーリングでは4月に訪れたのだが、九州入りしたその日は季節外れの寒波+低気圧で大荒れの天気となった。初日は水分峠まで行った別府に引き返し、晴れた翌日に「やまなみ」を走っている。この時訪れた牧ノ戸峠では、青空の下見事な樹氷を見ることができた。

 さすがに5月とあって樹氷はなかったが山は緑一色で覆われていて、見ているだけでも清々しい気分になる。「緑」は心を落ち着かせる色なのだ。登山道を上ろうかと思ったが、駐車場は車で満杯。登山道は人が多く落ち着けないので、写真だけ撮影して牧ノ戸峠を後にした。

◇温泉巡り 〜筌ノ口温泉〜

 牧ノ戸峠を越えて北側に入ってもワインディングは続く。相変わらず急勾配・急カーブが続くが、南側ほど急ではないのでそう苦にはならない。寒ノ池地獄を過ぎると飯田高原のドライブインに到着する。小休憩の後出発。ここからはr621(県道田野庄内線)に入ってr11から離れる。

 r621も高原を貫く快走路だが、観光ルートから外れるためか交通量は多くなくローカル県道という感じの道。淡々と狭い2車線道を北上すると、大分県九重町田野の町に到着する。のんびりとした町だ。生活感あふれる町中に入ると、少し前に走っていた観光道路が別世界であるように感じられた。

 町の北部で脇道に入る。コンクリート舗装の急勾配坂道を下って行き、14時頃に筌ノ口温泉に到着した。筌ノ口温泉も1998年(平10年)の九州ツーリングで訪れた温泉だ。5年ぶりとなるが建物や雰囲気は全く変わっていない。変わったと言えば管理人室が設置されたぐらいだろう。

 浴室は天井が高いので開放感がある。真ん中に広い浴槽があって赤褐色の湯で満たされている。お湯はもちろん掛け捨て。正真正銘の温泉だ。ヽ(゚∀゚)ノ 浴室内の床も浴槽も、温泉の鉱物成分こびり付いて茶色くなっている。浴槽などゴツゴツと塊になってこびり付いている。それがまた良い雰囲気を醸し出してくれている。

 湯に浸かってのんびりと疲れを癒す。地元のおっちゃんは床で寝ころんでいる。体が冷えると湯船に浸かるようだ。昔ながらの公衆温泉浴場だ。谷底に下る急坂はちと大変かもしれないが、ここはお勧めの温泉だ。

 脱衣室で地元のおっちゃんといろいろと話す。服を脱いでいたおちゃんがいたので話しかけてみた。見た感じ気の良さそうなおっちゃんだったのが、シャツを脱ぐと背中には見事な入れ墨が入っていた。((((;゚Д゚)))) そのことには触れずに世間話をしていると、おっちゃんが「大阪から来たんか。わしも15年ほどおったわ」と遠い目をして話してくれた。(^^;) やがておっちゃんはすっぽんぽんになり浴室に向かう。こちらも服を着終えたので、挨拶して脱衣室を出た。

◇温泉巡り 〜湯平温泉〜

 筌ノ口温泉を出発。急勾配の坂道を上って町中に戻る。町中で給油した後r621でr11(やまなみハイウェイ)に戻って北に向かう。r11は崩平山をぐるりと半周しながら回って行く。この付近は森の中を進む区間。ここもどことなく北海道的な雰囲気がある。

 途中でr11から離れてr537(県道湯平温泉線)に入る。r537は山中を進む2車線の道。急勾配の坂道と急カーブが続くが、整備・改良されているので難なく走ることが出来た。大分県湯布院町湯平の町が見てきた。ここにある湯平温泉が3つ目の温泉。ここは2001年の九州ツーリングで寄ろうと思っていたが、時間の都合で訪れなかった温泉だ。

 さて温泉街は山の斜面にあるようで、麓付近から斜面に沿って町が形成されている。その上手付近の集落に向かう狭路があった。県道との分岐点には『←湯平温泉街』という表示があったので、その狭路に入る。

 湯平温泉といえば、結構名の知られた温泉なので、観光客の車が出入りするはず。r537は「やまなみハイウェイ」からのアクセス道路なので交通量も多いだろう。それなのに温泉街に向かう道が1車線幅の狭路なのが腑に落ちない。嫌な予感がした。数分後、その予感は的中する・・・

 集落内に入ってしばらくは緩やかな勾配の坂道だったが、すぐに急勾配の坂道となった。少し進むとT字路に出る。左折すると急坂を上ってr537に戻る。温泉街は直進しなければならない。道はここから石畳となっていた。温泉街の雰囲気を良くしようと、味気のないアスファルトやコンクリ舗装をやめただろう。

 そのまま先を進む。10mほど進むと狭路のまま激坂となった。しかも、R308暗峠の激坂並の勾配がある。((((;゚Д゚)))) 温泉街(公衆浴場)はこの坂を下った所にあるので、引き返すわけにはいかない。そのままKSRUで激坂を下って行く。

 石畳なのでガクガクと揺れまくる。ハードケース内の荷物が上下左右に飛び跳ねているのが分かる。あまりの振動でレバーを握る手が痛くなる。頭も上下左右に揺れまくる。対向車が上ってきたら大変だ。激坂を下ってS字カーブをクリアすると温泉の旅館街に入った。温泉街を貫く川に架かる橋が唯一平坦な場所だったので、ここに止まって休憩。エンジンを轟かせて登ってきた配達の軽トラとここですれ違う。

 橋のすぐ近くに公衆温泉浴場があるのを確認して駐車場を求めて先に進んで行く。しかし周辺に駐車場はないようなので、橋にKSRを停めて温泉に向かった。

 橋の近くに湯平温泉の源泉があった。木造の建物で『源泉』と書かれている。湯平温泉は、その昔、老猿が湯浴みをしていることから発見された温泉だとか。鎌倉時代から続く歴史のある温泉だそうだ。

 源泉の隣に湯平温泉「金の湯」があった。建物は鉄筋コンクリートの公民館で、温泉はその1階にある。湯平温泉街には「金の湯」「中湯」「中央温泉」「銀の湯」「橋本湯」と5湯の共同温泉浴 場

がある。今回は一番上に位置する「金の湯」を訪れている。

 棚だけの脱衣場から浴室に入る。浴室内は薄ぐらい。そこにタイル張りの浴槽があり、無色透明のナトリウム塩化物泉が注がれていた。湯は適温で、入ってしばらくすると体がポカポカと温まった。

 15分ほどで上がって服を着て、外のベンチで休憩。どうやって残りの激坂をクリアするか考える。15時45分頃に出発。結局はエンジンをかけずにKSRUを押し歩いて激坂を下って行くことにした。これが一番安全だろう。

 「金の湯」から下も温泉旅館街だった。道は相変わらず石畳の狭路で激坂が続く。ZRX1100で来ていたら悲惨な目にあったことだろう。今回KSRUで来たことは大正解だった。

 激坂を下って行くと、「中の湯」「中央温泉」といった他の公衆浴場を通り過ぎる。今回は時間がないので、また機会があれば他の湯を訪れたい。それにしても温泉街の中がこんな激坂で登るのも困難な道なのに、日帰り入浴の観光客はどこに車を停めているのだろうか?その答えはすぐに出た。

 坂を下るにつれて、激坂を歩いて登ってくる観光客の姿が増え始めた。観光案内所の前まで 来

ると緩やか坂道となった。ここからKSRUのエンジンを掛けて乗って進むと、すぐにアスファルト舗装の道との合流点に出た。合流点の横には駐車場があった。湯平温泉では、バイク・車はここに停めて、あとは激坂を登って温泉に向かうことになっているようだ。一方のアスファルト舗装の道はr537。上にあった狭路分岐点をまっすぐに進んで行けば、激坂を下ることなく駐車場まで下りることができたのだ。疑問は一気に解決した。駐車場があることなど全く知らずに、温泉街の激坂を下ってきた私の苦労は何処へ・・・(ノД`)

 激坂を歩いて上り下りするのは相当きつい。だから「金の湯」はガラガラだったのだ。全ての温泉を制覇しようとしたら、それなりの脚力が必要になる温泉だ。またバイクや車で上る(もしくは下る)としても、駐車スペースがない。原付までならどうにか停めることができるが、上りはパワーがないと難しいし、下りはエンジンブレーキがないと少し危険だ。

 湯平温泉は歩いて坂を上り下りしながら温泉を楽しむ所なのだ。くれぐれもバイクで温泉街の激坂に突入しないように・・・。

◇またもや・・・

 湯平温泉街を後にする。R210に入り湯布院の町へ向かう。この頃から2ストオイルの赤ランプがチカチカ点滅するようになった。2ストオイルが少なくなっているとの警告だ。出発前に2ストオイルを補充して満タンにして来たのだが、やたらと勾配のある坂道を上ったためだろうか、一気に減ってしまったようだ。大丈夫だと思って2ストオイルの缶を持ってこなかったのは間違いだった。赤ランプが点くのは気分的に良くないが、別府まで保てば大丈夫だろう。バイク屋で購入するまでだ。最悪でも港までたどり着いてフェリーに乗ることができればそれで良い。

 由布院の町の南でr11に入る。町の南側を進んで行くと、やがて急勾配・急カーブの連続するワインディング道路となる。勾配はかなり急だが、登坂車線があるので遅い車やトラック・観光バスはそちらを走る。今回はKSRUなので、大型車に混じって登坂車線を走るが、どうにもペースが遅いのでギアを3rdぐらいに入れて大型車を追い抜いた。

 坂を登り切ると別府市に入る。由布岳(豊後富士)の姿を左側に見ながら進んで行く。しばらくすると鶴見岳の姿を見ながら走ることになる。交通量が多い道だが追い抜くわけにはいかないので淡々と車列に入って進んで行く。

 やがて城島後楽園ゆうえんち前を通り過ぎると急な勾配の下り坂となる。別府ロープウェイ乗り場前を過ぎると、しばらくは本格的なワインディング区間に入る。別府の街を一望できる区間だが、景色を堪能している場合ではなく運転に集中する。下り坂なのでエンジンは掛けたままN(ニュートラル)状態で下って行く。少しでも2ストオイルの減りを少なくするためだ。

 坂を下り終えると別府市街の東端に到着。ここから道は4車線道となる。交通量の多い幹線道路を淡々と進んで行く。道はやがてR500となる。鉄輪温泉の近くを過ぎると緩く長い下り坂となる。下り終えた所がR10との交差点。別府観光港はその真ん前だった。

◇関西汽船

 別府観光港に着いたのは17時頃。出港まで時間があるので、近くなる別府市内の公衆温泉に入ろうかと思ったが、港に着くと動く気になれずやめにする。FTに入り「関汽友の会」の割引券を使用して乗船券を20%引きで購入する。土産を買って駐車場に戻る。

 17時半、係員に呼ばれて乗船となる。2等寝台に行って荷物を下ろす。風呂の準備をして少し横になると、少し眠ってしまった。18時頃に起きて風呂に入ってサッパリする。寝台に戻り横になるが、出港のアナウンスを聞きながらまた眠ってしまった。

 20時頃に目が覚める。危うく夕食を食べ損ねるところだった。夕食を食べてベットに戻ると、またもや眠る。だいぶと疲れているようだ。23時頃にまた目が覚める。歯を磨いてからベットに戻り、23時半頃に本格的に寝てしまった。

●2003年5月11日(日)【大阪南港FT→自宅:23km】

◇最後は雨

 目が覚めたのは午前5時50分頃。なんと接岸20分前だった。かなり疲れていたようで爆睡していたようだ。急いで荷物をまとめて甲板に下って下船準備をする。準備といってもハードケースを取り付けてメットをかぶるだけだが。午前6時10分、フェリーは大阪南港FTに接岸する。バイクの下船は車の後なので、その間にエンジンを暖気。2ストオイルのランプは点滅しているが、南港から自宅までならもつだろう。10分ぐらいして下船する。

 外は雨・・・。最後の最後は雨に降られた。ジンクスは健在のようだ。一旦ターミナルに行き、缶コーヒーを買って飲む。一息入れたあと雨具を来て、雨の中大阪南港FTを出発した。

 ここからは慣れた道を、雨の中ひた走る。日曜の雨の朝とあって交通量は少ない。午前7時半頃、無事自宅に到着。3泊4日(実質2日)のツーリングだったが、かなり長いツーリングのように感じた。バイクをガレージに入れ「ご苦労さん」と声を掛けて家に入る。雨具を乾かす為に吊し、少し片づけをするとツーリングが終わったと感じる。

 一通り片づけを終えた。「さて、一眠り・・・」 そそくさとベットに潜り込み、次のツーリングはどこに行こうかと考えながら眠りにつくのだった。

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