Update 2009.12.27

 

 

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■M24軽戦車

 M24軽戦車は、第二次世界大戦での北アフリカ戦線におけるM3戦車の戦訓から開発された米陸軍の軽戦車。戦後、日本の陸上自衛隊にも供与され、昭和40年代後半まで現役であった。

●開発

 M3軽戦車は37mm砲を搭載していたが、ドイツ陸軍戦車との戦車戦においては威力不足であった。そのため新たに『75mm砲を搭載した強力な装甲を持った軽戦車』の開発が開始された。

 車体は軽戦車として開発されたM7中戦車(重量が重くなり中戦車となった)のを流用し、駆動系はM5スチュアートY軽戦車のもを流用した。また主砲はB25に搭載された艦船攻撃用の75mm砲を戦車砲に改造したものを搭載。車体重量を増加させたにようにするため装甲を厚くせずに、避弾径始を高めたデザインとなった、

 1943年(昭18年)10月に試作車が完成。翌1944年(昭19年)3月〜45年(昭20年)1月までに約4000両が製作された。

●実戦

 M24軽戦車は1944年(昭19年)末頃から部隊配属となった。主にヨーロッパ戦線で使用され、ドイツ軍戦車を撃破したり損傷を与えるなどの戦果を挙げた。

 第二次大戦終結後も米陸軍の主力軽戦車として使用されたが、朝鮮戦争(1950〜53年)においては、ソ連製戦車のT34(T34/85)相手に苦戦する。そのため戦後に開発されたM41軽戦車と交代する形で第一線から退いていった。

●その後・・・

 M24はアメリカ陸軍以外にも、イタリア・オランダ・ベルギー・ポルトガルなどの西欧諸国、オーストラリアや東南アジア諸国や中東諸国に供与されて運用された。日本の陸上自衛隊にも約400両が供与され、昭和40年代後半まで使用された。映画『ゴジラ』(昭29年版)ではゴジラ撃退に出撃する東宝自衛隊戦車として登場していることは巷では有名。

【DATA】

全長:5.03m

全幅:2.997m

全高:2.769m

重量:18.4t

最大速度:40〜56k/h(条件による)

行動距離:161km

兵装:40口径75mm戦車砲×1/12.7mm銃機関銃M2×1/7.62mm機関銃×2

装甲:13〜38mm

■M24軽戦車【ハワイ・アメリカ陸軍博物館展示車輌】

 

 

 正面から見ると、主砲塔が平べったい。これは避弾経路を考慮した結果によるもので、敵の砲弾が当たっても跳ね返すことを狙った。その分装甲厚は薄くなり、砲塔の防盾は38mm、砲塔側面・後面は25.4mm、上部は13mmとして、重量を軽くしている。

 この車体も完全車体ではなく、あちこちのパーツが欠落している。展示のために意図的にそうしているのだろうか?

▲右側面。右側のキャタピラカバーがない。

▲左側面。正面のライトカバーが欠落。12.7mm銃機関銃も砲身がない。

▲左側面を後方から。

▲右側面後方。 カバーのあるなしで戦車の感じがだいぶ変わる。

▲キャタピラ。

▲砲塔右側面。星マークが手描きっぽい。

▲主砲は75mm戦車砲。

▲12.7mm重機関銃と7.62mm機銃はない。

 兵装で装備されているのは40口径75mm砲だけだった。12.7mm重機関銃は砲身がなく、7.62mm機銃は担架すら装備されていない。現役時代の写真を見ると、主砲上部のハッチ横に7.62mm機銃が2挺配置されていた。

 このM24はハワイのアメリカ陸軍博物館に展示されている車輌。隣に九十五式軽戦車が展示されているのだが、キャタピラだけを比較してもいかに日本の戦車が遅れていたかが分かる。アメリカにしても、戦車の運用にかけては当時世界トップレベルだったドイツ陸軍との戦闘で、M2やM3戦車がこっぴどく酷い目に遭い、戦訓からM24を開発している。あとは工業力にものを言わせて量産。それなりの性能を持った戦車を大量に投入するのだから侮れない。

 M24は見た目は重そうだが、操縦すると機動性がよく乗り心地が快適な戦車だったとか。主に自動車会社のキャデラック社が開発・製造を担当したので、随所に自動車製造のノウハウが応用されていたという。戦後、陸上自衛隊に供与されたM24に乗った隊員には大変好評だったとか。M24の操縦性の良さは日本本土での使用を考慮していたという話もある・・・。

 M24は主にヨーロッパ戦線に投入された。イギリスやソ連などにも供与され、英陸軍では『M24Chaffe』と呼ばれていた。戦後は日本の陸上自衛隊にも供与されている。操縦性が良いため日本の国土に合っていたようだ。日本本土での対日戦を考慮していたという話もまんざら嘘ではなさそう・・・。ちなみに陸自に供与された車輌のほとんどが朝鮮戦争でM41と置き換えられた車輌だった。

 あちこちの国で使用されたため、アメリカを始め保存展示されている車輌は多いようだ。陸自でも使用されたこともあり、M24戦車は日本国内でも陸自富士学校などに保存展示されている。

【撮影日】平成16年(2004年)5月15日

【M24軽戦車 終わり】

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